第六十話 衝撃の出迎え

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ケンシロウとマリーが畑仕事から帰ってくると、これから勉強会に行くというそよ風が玄関で出迎えました。

「ただいま」とマリーがそよ風に言います。

「おかえり…」とそよ風は言いかけて、マリーの後ろにいるケンシロウを見て驚きの声をあげます。「どうしたんですか、その格好…」

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「ああ、これ。それがね」
マリーが、そのいきさつをそよ風に説明しはじめました。

畑仕事に行こうと外に出たらプレスという記者に出会い、彼がケンシロウが地球人だということを知って、ぜひ取材させてもらいたいと依頼を受けたこと。
しかし、その承諾はそよ風と話し合って決めることにしたこと。
その猶予を与える代わりに、素のままでは他の記者に特ダネを奪われてしまうので、ケンシロウにこのような変装をするように求められたことを打ち明けたのです。

それを訊くと、そよ風は困惑の表情を浮かべました。
「そうですか…。弱りましたねぇ」

「そうよねぇ。マスコミに騒がれたら、私ら有名人になっちゃうものねぇ」とマリーもため息をつきます。

「う~ん」そよ風はうなると、ケンシロウに声をかけます。「ちょっと、ワタシの部屋に来てもらっていいですか。二人で話したいので」

「はい…」
ケンシロウは暑苦しいニットキャップを脱ぎながら、深刻そうに肩を落とすそよ風の後についていきました。

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★あらすじ★

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第六十一話 弱った事態

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「ねぇ、どうしたのよ」
そよ風に自室で二人っきりで話をしたいと言われてついていくケンシロウの背後から、マリーの声が追いかけてきます。

そよ風は長い首をくるりと返すと、普段は見せないシリアスな表情でマリーに言います。
「お母さんは、ちょっとご遠慮願えますか」

息子の強い口調に押し返されるように、マリーはちょっと後ずさりしながら答えます。
「ええ、まぁ、そうなの…。わかったわ」

「スミマセン」
そよ風は、他人に対するように生真面目なお辞儀をすると、自室のドアを開き、ケンシロウに先に入るように促しました。

「どうも」
ピーンと張り詰めた空気に、ケンシロウは緊張感が高まってきました。
それはまるで、取調室に入れられる容疑者のような気分です。

そよ風はケンシロウを通すと、自分の身体も自室に入れ、厳重にもドアの鍵をロックしました。
そして刑事のように険しい顔つきで椅子を引いて、そこにケンシロウを座らせると、テーブルをはさんでケンシロウと対峙しました。

はぁ〜、とそよ風は深い溜息をついて椅子に腰掛け、しばらく目を閉じ考えこんでから話し始めました。
「弱りましたねぇ。アナタのことが記事になって騒がれれば、ギースの耳に入るかもしれません。そうなると、面倒なことになってしまう」

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その名を聞いてケンシロウは、畑に行く途中、ラマ観光の添乗員であるギースと思われる男から脅迫文が送られてきたことを思い出しました。

「それが、もう遅いかも…」と言いながら、ケンシロウはズボンのポケットにいれた脅迫文を取り出すと、そよ風の前に差し出します。

そよ風はそれを手に取り、読み上げると、「なんですって…」と声を震わせました。

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★あらすじ★

第六十二話 どん底の二人

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「『約束を守らないと、殺すぞ』って、これは大変なことだ…」
そよ風は、もう一度、ラマ観光の添乗員であるギースから送られたと思われる脅迫文を読みあげると、頭を抱えました。

「ギースらしき男を目撃した後、風に乗ってこの脅迫文が」ケンシロウはそこで言葉を止めると、ヒラヒラと両手をウェーブさせて説明を再開しました。「こう舞い降りてきたんだ」

「舞い降りてきたってことは、高所からアナタたちをねらって落とさないとできない芸当ですよね」そよ風は椅子の上に昇ると、手にした脅迫文をケンシロウめがけて落としました。「ということは、共犯者がいるのかも」

「はっ…」
ケンシロウは驚きとともに、刑事のように鋭い推理力をもつそよ風を感心して見あげました。

「でも、ギースは自分が犯した失態を他の者に知られたら困るはずです」そよ風は椅子の上で腕を組んでうなります。「ギースは自分の立場を失うことを恐れる小心な普通の勤め人ですよ。そんな普通のラマ星人がどうやって、こんな恐ろしいことに協力してもらえる者を得られたのでしょう?」

「かなりの大金をつんで、どこかの不良のあんちゃんに協力を求めたとか」
ケンシロウは脅迫文を紙幣に見たててテーブルの上にドンと置くと、思いついた推理を口にしました。

「う~ん。それはどうでしょう」そよ風は再びうなり声をあげます。「そんな信用できない者に協力を求めると、後でその弱みにつけこまれ、逆に脅迫される恐れがあります。そんなリスクをおかしてまで、そういう危険人物に近づくでしょうか」

「確かに、それはナシかな」

「いずれにしても、私たちは四六時中、監視されていることに間違いありません」そよ風は椅子から飛び降りると、自室の中を隠すようにカーテンを閉めました。「アナタのことを記事にするのは、なんとかしてやめてもらいましょう。でないと、本当に殺されてしまうかもしれません」

「ヒ~ッ」
ケンシロウはギースに殺されることを考えると、どん底に突き落とされるような恐怖感に襲われました。

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★あらすじ★

第六十三話 暗闇のシルエット

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ラマ観光の添乗員であるギースに四六時中監視されていることを考えると、ケンシロウはなかなか寝つけませんでした。

今夜は風が強く、外は物音が頻繁にします。
その度事に、ケンシロウは外にギースがいるのではないかと反応し、震えあがっています。

ああ、こんなとき酒でもあればいいのになぁ、とケンシロウは思いました。
地球にいた頃は、仕事のプレッシャーなどで寝つけない夜は、よくアルコールの力を借りたものです。

しかし、アルパカ星には酒はないようです。
ビール好きのケンシロウは、このまま一生、酒が飲めないのかと思うと、ひどく淋しい気分になってきました。

なのに、ビールを大量にのんだ夜のように、先ほどからケンシロウは尿意を催しています。

お化けの話を聞いてトイレに行くのを怖がっている子どものように、ケンシロウはずっとトイレを我慢をしていましたが、ついに限界に達してきました。

もうダメだ!

ついに我慢の限界を超え、ケンシロウはトイレに行くためにベッドを離れました。

そして恐る恐るトイレのある一階に下りていくと、何か物音が聞こえました。

家の中は暗闇に包まれていましたが、眠れない夜で目を開けていましたので、ケンシロウは暗闇に目が慣れています。

目を凝らして物音がしたほうを見ると、そこには何者かがいました。

そよ風ファミリーの誰かが、同じようにトイレに行こうとしているのかと思いましたが、どうもそのシルエットに違和感があります。

とくに違和感を覚えたのは、そのシルエットの耳の形です。
そのシルエットの耳は、角のように尖っていました。

しかしそよ風ファミリーのなかには、そんな形をした耳をもった者はいません。

ケンシロウが会ったなかで、そのような耳の形をしていたのは、ギースぐらいです。

ギース!

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ケンシロウは心臓が口から飛び出すくらいの恐怖に襲われ、そこで凍りつきました。

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★あらすじ★

第六十四話 ただならぬ気配

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暗闇のなか、突如として現れたギースらしきシルエットを見て仰天したケンシロウは、腰を抜かして、その拍子に我慢していた小便をもらしてしまいました。

すると、その物音に敏感に反応したかのように、そよ風の寝室のドアが開きました。

「ど、どうしたんですか?」と、ケンシロウの背後からそよ風の声がします。

「ギ、ギース…」
ケンシロウは震える人差し指を、ギースらしきシルエットに向けます。

「えっ!」
そよ風も、角のように尖った耳のシルエットにただならぬ気配を感じたのか、驚愕の声をあげます。

「だ、誰ですか、アナタは?」
そよ風は震える声で、ギースらしきシルエットに問いかけます。

しかし、彼からは返答がありません。
モジモジと長い首が動くだけで、どう対応したらよいのかわからず、戸惑っている様子です。

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その時でした。
トイレの内側から、トントンとドアをたたく音がしました。

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★あらすじ★

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マウントエレファント

Author:マウントエレファント
アルパカとバラとスプリング、つまり春(おまえはルー大柴か)を愛するナイスミドル?なサラリーマンです。でも同僚には、そんな趣味、ばらしません。キモイっていわれますから。残念!(古っ!)

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