第八十八話 留守宅の不審者

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「着ぐるみは家のなかで脱げばいいですから、誰かに見られないうちに、さぁ、早く家の中に入って下さい」
ブラウンはそう言って、玄関のドアのノブに手をかけます。
しかし、ドアには鍵がかかっていました。

「あれ、おかしいな。ローズいないのかなぁ…」
ブラウンは玄関の隣の、レースのカーテンのかかっている部屋のなかを覗きます。

部屋の中はひっそりとして、人の気配は感じられません。

「ケンシロウさんを迎えにいってくるから、家にいるように言っておいたのに」
ブラウンはブツブツ言いながら、玄関の横にある植木鉢の下を探りました。
そこは鍵の隠し場所であるようです。

ブラウンは鍵を手にすると、玄関のドアを開けました。
そして、「さぁ、どうぞ」と言ってケンシロウを招き入れ、「お〜い、いないのか?」とローズを呼びました。

しかし、返事はありません。
そのかわり、玄関の隣の部屋のあたりから、ゴトン、という音がしました。

「何だ?」と言って、ブラウンは物音がした部屋のほうに向かいます。

ケンシロウもその後に続き、胸をときめかせながら愛しのローズのお宅にあがります。

「ローズ、いるのか?」ブラウンは警戒した声色でそう言うと、その部屋のドアを開けます。すると、突然、大きな声をあげました。「だ、誰だ!」

ケンシロウは驚いてブラウンの後ろから部屋の中を覗くと、そこに怪しげな獣の後ろ姿が見えました。

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第八十九話 ローズを語る不審者

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留守宅に見知らぬ者がいることにブラウンは動転して、再びその不審者に、「誰だお前は」と尋ねました。

すると、不審者はゆっくりと振り返りました。
不審者はメスのラマ星人でした。

第八十九話+のコピー_convert_20140802072102


しかし不審者というにはあまりに間抜けた顔なので、ブラウンもケンシロウも警戒心が解かれたように、ポカンと口を開けています。

「お父さん」
不審者は出っ歯の口を開けて言いました。

「お父さん?」ブラウンは、さらにあんぐりと大きく口を開きます。「ワタシにはローズという娘しかいないぞ。お前なんて知らん」

「知らないはずがないわよ、ワタシがローズなんだから」

「馬鹿を言うな!」ブラウンは大きな声を不審者にぶつけます。「ローズは、そんな…、言っては悪いが、そんなブサイクではない」

「そうだ!」ローズを名乗る不審者の馬鹿な発言に、ケンシロウも黙っていられなくなりました。「ローズさんは、そんなブスじゃないぞ!」

すると、不審者はニッコリと笑って言いました。
「そう言ってもらうと、うれしいわ。ケンシロウさん」

「な、なんでオレの名前を…」
ケンシロウは驚愕のあまり、開いた口が塞がりませんでした。

そよ風家とブラウン家、そしてケンシロウを監視しているギース以外、ケンシロウの名を知っている者がいないからです。
その上、ケンシロウは着ぐるみを着て、素顔を隠しているのです。
これを見て、ケンシロウだとわかるのは、そよ風とブラウン、そして…。

「だからワタシがローズだといっているでしょ」
不審者は前歯をニョキリとむき出しにして笑うと、後頭部に両手を回しました。

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第九十話 不審者の正体

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ローズだと名乗る不審者の言動にケンシロウとブラウンが戸惑っていると、その不審者は後頭部に両手を回し、何やらゴチャゴチャやり始めました。

しばらくすると、シャーッという音がして、何と頭の皮がめくれるではありませんか!
ケンシロウは何の脱皮が始まったのかと、呆然と成り行きを見つめます。

さらに驚いたことに、そのめくれた頭部の中から、ローズの顔がニョッキリと現れました。

第九十話+のコピー_convert_20140803090534


「ローズさん!?」
予想もしなかった再会に、ケンシロウの顔に喜びと驚きのミックスされた複雑な表情が浮かびます。

「な、なんで、そんな着ぐるみなんて着ているんだ?」
ブラウンも驚きの声をあげます。

「エヘッ、驚いた」
ローズはイタズラっぽい笑みを浮かべます。

「当たり前だ!」
ブラウンは怒気を含んだ声で返します。

「ごめんなさい」ローズは、やっちゃった、というように舌をペロリと出します。「でも、普通に出迎えたらおもしろくないじゃない。ねぇ、ケンシロウさん」

「はぁ…」ローズの可愛らしい仕草にすべてを許してしまっていたケンシロウは、大きく頷いて答えます。「それは感動の再会ですので、サプライズがあったほうがいいと思います」

「それに着ぐるみを着ていたのはわけがあるのよ」とローズは言います。

「何だ、その理由というのは」
ブラウンはまだ怒りが収まらないといった強い口調で聞き返しました。

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第九十一話 究極の選択

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「着ぐるみを着ていた理由とは何だ?」
ブラウンは、愛する一人娘ローズに尋ねました。

「ケンシロウさんに渡した仮の着ぐるみが、あまりにもひどいものだったから、もっとマシな着ぐるみがないかと思って探していたのよ」とローズは答え、脱ぎかけの着ぐるみの首を持ちあげます。「そしたらこれが見つかって、ちょっとどんな感じになるかと思って着てみたの。ちょうどそのときお父さんたちが帰ってきたってわけ」

「なるほど」とブラウンは納得したように頷きます。「でも、よくそんなものあったな」

「ワタシが高校の時、演劇の舞台で着たものよ。覚えていない?」

「そういえば、そんなようなものを着ていたな…」とブラウンは答え、眉をひそめます。「で、それをこの着ぐるみのかわりに、ケンシロウさんにそれを着てもらおうってわけか?」

「そうよ」とローズはさらりと答えます。「ケンシロウさんがいま着ているのより、ずっとマシでしょ」

「かもしれんが…」ブラウンは唸りがながら首を傾げます。「しかしその着ぐるみメスだろ。いくら見た目がマシになると言っても、それを着るのは抵抗感があるんじゃないかなぁ。なにしろ外に出るときは、身のこなしもしゃべり方も女性になりきらなければならないんだから」

ケンシロウは二人のやりとりを聴きながら、自分がそれを着て女性の真似をしたら、どんな風になるだろうかと想像してみました。
なぜか手本として思い浮かんだのは、おネエタレントのクリス松村でした。
あの強烈なキャラで外を歩いている姿を思い浮かべると、裸であるいた方がマシだとさえ思えてきます。

「どうします、ケンシロウさん?」
ブラウンはケンシロウのほうを振り向いて、そう尋ねました。

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ケンシロウは、む〜っと唸ったまま、即答できませんでした。

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第九十二話 僅差の選択

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「アタシの使ったのじゃ嫌かしら?」
ローズはちょっと寂しそうな表情を浮かべます。

「いえ、そんなことありません。使わしてもらいます、その着ぐるみを!」
ケンシロウは力強い声で答えました。
ローズを悲しませたくないと思う気持ちもありましたが、それ以上に愛しのローズの使った着ぐるみを着られるというスケベ心がムクムクと湧いてきたからであります。

「まぁ、考えてれば、そっちのほうがいいかもな」ブラウンは、ケンシロウが着ている着ぐるみとローズの着ている着ぐるみを見比べながら言います。「ケンシロウさんがいま着ている着ぐるみで外を歩くとなると、あのプレスとかいう新聞記者に見つかって、ひつこく取材を申し込まれることになりかねん。だったら、少しは見た目がマシなそっちの着ぐるみを着てもらったほうが安心だ。ギリギリ『変顔』の記事の対象にはかからないだろうから」

「そうよ。これなら何とか外を歩けるわよ」
ローズも太鼓判を押しました。

「そうですかねぇ…」
ケンシロウはローズの肩の下にぶらさがった着ぐるみの顔をじっくり見て、人間の容姿レベルに変換してみました。
出っ歯で頬骨のでた顔つきは、どことなくハリセンボンのはるかに似てます。
確かに、「変顔」の部類にひっかかるかどうか微妙なラインにあるといえるでしょう。

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オレ的にはちょい変顔に入ると思うけど、プレスはどう判断するだろうか…。
そう考えると、ケンシロウはまた臆病になってきました。

「でも、その着ぐるみに着替えたケンシロウさんを家とどういう関係にあることにしようか?」
ブラウンは腕を組んで唸ります。

「そうねぇ、アタシの妹というには無理がありそうだし…」
その着ぐるみとは似ても似つかないキュートな顔つきのローズも困った表情を浮かべます。

「だったら、おまえの親友ということにしたらどうだ?」とブラウンは提案します。

「えーっ」ローズは悲鳴に近い声をあげます。「そんな顔の子を親友だなんて言ったら、トモダチに趣味悪いって言われちゃうかも」

やっぱり変顔なんじゃん!
ケンシロウはますます外にでる勇気を失いました。

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マウントエレファント

Author:マウントエレファント
アルパカとバラとスプリング、つまり春(おまえはルー大柴か)を愛するナイスミドル?なサラリーマンです。でも同僚には、そんな趣味、ばらしません。キモイっていわれますから。残念!(古っ!)

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