飛び込み台の底へ 八話

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とはいっても喜ぶのはまだ早い。何かの間違いである可能性は十分あるのだから。

そんな心配が募ると、一秒でも早くここから立ち去りたくなる。
オレは急いですべての衣服を身につけ、財布と車のリモコンキーをスラックスのポケットに入れると、誰にも怪しまれないように平静を装って更衣室の出口に向かう。

最大の難所は、キツネ顔のオヤジがいる管理人室である。
いくらイメチェンをしても、顔は元のままなのだから、キツネオヤジに顔を見られたら厄介なことになる。

オレは更衣室のドアを細く開け、そこから管理人室の方をみる。

すると、ありがたいことに、キツネオヤジはいない。
管理人室の窓は閉められていて、その前に「只今、外出中」と看板が立てられている。
ちょうど昼飯時なので、飯でも食いにいったに違いない。

ラッキー!!

オレは指を鳴らして幸運を喜んだ。そして、この千載一遇のチャンスを逃すまいと、大急ぎで更衣室を飛び出し、管理人室から顔をそむけて小走りで、その「関所」を通過した。

無事、脱出に成功すると、重い荷物を一気におろしたかのように身軽になり、オレは「ふうっ」と安堵の息をはいた。
冷や汗を拭いながら見あげた空は、オレの晴れ晴れとした気持ちを象徴するかのように、雲ひとつなく晴れ渡っている。

こんな爽快な気分は、何年ぶりだろう。
いや、あの屈辱的な出来事以来、こんな気持ちを味わったことはないかもしれない。
長い逆境に耐えてきた自分を、オレはほめてやりたくなった。

でも、これからは「我が世の春だ」である。そう浮かれながら、駐輪場に向かった。

ところが、

「あれ? オレの自転車は?」

止めたはずの場所に、オレの自転車がない。

「あっ、そういうことか」オレはすぐにその理由がわかった。「セレブになれば、自転車なんかで来るわけないものな」

これもセレブに生まれ変われた証拠なんだと思い、オレはポケットからアウディのリモコンキーを取り出すと、それをしみじみ眺め、幸福感にひたる。
そして今度こそ場所を間違えまいと、駐車場に足を向けた。

駐車場につくと、すぐに目当ての車を探し出せた。
昼食時で駐車場は空いていたし、オレの車と思われるアウディ以外は、みなくたびれた国産車ばかりだったからだ。

オレはウキウキしながら、駐車場の一番端に置かれている黒のアウディに近づく。
アウディは前置きに駐車されていたが、フロントデザインはA4からA5までどれも似ているので、遠くからではどのタイプの車かよくわからない。

だが、すぐにわからないところが、オレの期待をたかめる。
さらに近づくと、どうやらそれは、A5の面構えであることがわかった。

A5は、4ドアセダンであるが、クーペのように後部窓が傾斜しており、その流れるようなデザインがとても美しい。前に車雑誌をみて、オレはこれに一目惚れして、いろいろと知識を仕入れていた。

オレはA5の前にたち、さらに歓喜した。
これはA5ではなく、S5であることがわかったからだ。
S5につけられたSとは、Sモデルのことで、簡単にいえばノーマル仕様の車がスポーツ仕様に仕立てられたモデルのことだ。

そうなれば当然、プライスも高くなる。
確か、ノーマルのA5が600万円ぐらいで、S5になると900万円ぐらいにはねあがったはず、と思いだし、オレは生まれ変わったオレのセレブぶりに驚く。

本当にオレの車なのか確かめるために、車のリモコンキーをそちらに向け、ロック解除のボタンを押してみる。

ピピッ、という音とともに、ウインカーが点滅した。

オレのアウディ

間違いなくオレの車だ。

オレは胸をときめかせながら、運転席側のドアを開けようとした。

その時だった。

「ちょっと」

背後から、聞き覚えのある男の声がした。

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飛び込み台の底へ 七話

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ひょっとして、リベンジが果たせたことで、本当にオレの人生が変わっちまったってことか…。

オレはゴールドのクレジットカードを呆然と見つめながら、そんなありえないことをふと思った。

もしそうだとしたら、これは夢みたいな話である。

何しろ、生まれ変わったオレは相当なセレブのようだ。

左手に持つ、クレジットカードの入った財布はブランド品だ。
札入れをひらけば、万札がざっと20枚は入っている。

クルマのリモコンキーには、さらに胸が踊った。
憧れの、アウディのマークが輝いていたからだ。

時計もセレブ定番のロレックス。

なめらかな肌触りの、光沢のある紫のワイシャツも高そうだ。

オレは、そのワイシャツに袖を通してみる。
オーダーメードで、オレの体型にあわせてつくられたようなフィット感だ。

続けて、海パンをボクサーパンツに履き替え、その上に黒のスラックスを着けてみた。
これも驚くほどぴったりで、丈もちょうど良い。

革靴にも足をいれてみたが、同様に合っている。

どれもこれも、オレにジャストサイズなのをみて、オレは本当に生まれ変わったんじゃないかと思い始めた。

ロッカーの内側に取りつけられた小さな鏡に自分の顔をうつしてみて、オレはその思いをさらに強くした。

顔のパーツひとつひとつはオレに間違いないが、全体の印象は昔のオレとは違い、精悍で自信にあふれている。
俺って、こんなにいい男だったけ、と見直すほどだ。

うっとりして肌をさすると、女の肌のようにスベスベだった。剃り残しの無精ひげも生えていない。
そういえば、肌もきれいな小麦色にかわっていて、肉体労働で真っ黒に焼けた肌ではなくなっている。

今度は、鏡に頭部をうつしてみた。
これもかなりのイメチェンで、激安の理髪店でカットした色気のない髪型から、美容室で手入れされたイカした髪型にかわっている。

オレの顔に自然に笑みがこぼれる。

その半開きの口元をみてさらに驚く。

右の前歯が欠けていないのだ。

差し歯かと疑ってひっぱってみたが、ビクともしない。正真正銘の自分の歯だ。

ウォー! オレは本当に生まれかわれたんだ。

オレはこころのなかで絶叫し、力強く拳を握って、ガッツポーズをした。

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アルト

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アルト

そよ風の娘。
母親似の美人。趣味は、音楽。美声で歌がうまい。
学業優秀で家のお手伝いも積極的にする、しっかり者。

14歳。中学二年生。

謎解きは「うな重」のあとで

小学校の夏休みということで、甥っ子が泊まりがけで遊びに来た。

大好きな同い年のいとこと、正月休み以来の再会ということで、うちの息子も大喜び。
ちょうど、夏祭りが行われているので、二人をつれて街に出かけることにした。

オレは行きのバスの中で、「それにしても偉いね。6歳なのに、ひとりで電車に乗ってこんな遠いところまで遊びにこれるなんて」と甥っ子をほめた。

「そんなことないよ。だって、テレビの『はじめてのおつかい』じゃ、ボクよりずっと小さいのに、バスを乗り継いで遠くまで買い物にいく子もいるんだよ」

甥っ子の謙虚な姿勢にオレは涙がでそうになった。
それに比べて、うちの子ときたら。「かっぱえびせん」を鼻の穴にいれて遊んでいて、馬鹿丸出しというか、とても同い年とは思えない。親の育て方が悪いのか(って、親はオレか)。

「お前もちゃんと、リョウ君を見習いなさい」

息子の鼻の穴にささった「かっぱえびせん」を引きぬき、思わず説教してしまいました。

街についたら、ちょうどお昼時だった。

飲食店が立ち並ぶアーケードの下を歩きながら、「ひとりで遊びにきたご褒美に、お昼はリョウ君の好きなものをごちそうしよう」と言った。どうせ子供のことだから、カレーライスとかハンバーガーとか、値のはらないものだろうとオレは高をくくっていた。

しかしリョウ君は、老舗のうなぎ屋を指さし、「じゃ、ボク、うな重たべたい」と言い出した。

想定外の要望にオレはかなり動揺した。
うなぎといえば、数がとれなくなったせいでバカ高くなったセレブ食材。オレたちのような庶民にはスーパーで売られている900円のうな丼を楽しむのがせいぜいで、とても外食で食べられる代物ではない。
そんな高級品をこんなガキんちょが…。オレは、今日はじめてこの甥っ子を憎々しく思った。

「でも、夏バテには、うな重がいいってパパ言ってたよ」と、動揺で返事をかえせないオレを見あげて甥っ子は言った。

「そ、そうだね」とオレはやっと答えた。

すると、息子はオレのシャツを引っ張って、「えーっ。ボク、うなぎなんて嫌だ。だって蛇みたいじゃん」と言った。

オレは息子を褒めたくなった。そうだ。子供は子供らしいものを食べるのが一番だ。
それにオレの教育方針も間違ってはいなかった。こないだの土用の丑の日に、スーパーで買ったうな丼を食べながら、コレは蛇のいとこなんだぞと言って、うなぎの皮をわざとめくってみせた戦略が、いま花開いたのだ。

愛しき息子よ。もっと頑張れ!

「へびじゃないもん」リョウ君はほっぺたをふくらませて言った。

「だって、パパがうなぎは蛇のいとこだって教えてくれたよ」息子も負けじとほっぺたをふくらませて言い返すと、さらに強くオレのシャツを引っ張り、「ねえ、パパ」とオレに同意を求めてきた。

「そ、そうだったっけ」そんな嘘はウチの息子にしか通用しないと思い、オレはとぼけてみせた。許せよ、息子!

「なんだよ。嘘か」

「嘘じゃないもん」

ふたりは口論をはじめた。このままじゃ取っ組み合いの喧嘩になる。夏祭りで賑わう人混みでの騒動は困るとオレは焦って、「わかった。あそこで食べよう」と決着をつけた。

「ヤダー」と息子は駄々をこねたが、「あそこのうなぎ屋は、他のモノも食べられるんだぞ。牛丼とかカツ丼とか。パパも同じの食べるから、あそこに決めよう」となだめて、なんとか納得させた。

オレは重い足取りでうなぎ屋に入ると、ビクビクしながら「うな重」の値段を見た。
目まいがした。
なんと、「うな重の小」が3800円である。

もうそれ以上のものは頼ませないと思い、オレはメニューを急いで閉じると店員を大急ぎで呼び、「うな重小ひとつと、カツ丼ふたつ」と、まくしたてるように注文した。

店の中は空いていたせいか、思ったより早く「うな重」が運ばれてきた。
店員のオバちゃんはオレの前にそれを置くと、「カツ丼もすぐできますので」と言った。

「えー、これボクの」リョウ君は文句を言いながら、荒々しく「うな重」を自分の手前に引き寄せた。

「アラ、そうなの。ごめんなさいね」オバちゃんは謝って、舌を出してみせた。

でも、オレはオバちゃんに同情した。
うな重なんてシブい贅沢品は、こんな小生意気な子供が食べるものじゃない。もしオレがここの店員だとしたら、同じミスをするはず。ドンマイ、オバちゃん。

リョウ君はオレらのカツ丼が運ばれて来るのを待たずに、うな重の蓋をあけ、「やったー」と声をあげてみせた。
のぞくと、濃いタレがタップリとぬられた、ふっくらとした肉厚なうなぎがホカホカの白米の上にのっている。

「うまそうだなー」オレは、思わずツバを飲み込んで言った。

「おじさんもうな重にすればよかったのに」人の懐具合も知らずリョウ君は無邪気に言った。

オレたちの頼んだカツ丼をふたつ足しても、オマエの食べるうな重の値段に及ばないんだぞと思うと、大人気なくも本気でむかついてきた。

そんなオレの憤怒にも気づかず、リョウ君はテーブルに置いたお重の蓋にうなぎを置いていく。

どうやら、好物は最後にとっておく算段のようだ。
なるほど、アネキの子だ、とオレは思った。アネキも、好物は一番最後にとっておくタイプだった。こういうケチなところはアネキによく似ている。

準備が整うと、リョウ君は重箱に口をつけ、気持ちがいいくらいにガツガツとコメをかきこみはじめた。

そのペースは早く、オレたちのカツ丼が届く前に重箱のなかは空になってしまいそうだ。

オレは心配になって、「おいおい、そんな食べ方をしたらお腹がいっぱいになって、せっかくの好物が入る隙間がなくなってしまうぞ」と忠告した。

しかしリョウ君は、「大丈夫、大丈夫」と言って聞かない。

「だったら、おじさんがうなぎ食べちゃうぞ」と脅かすと、さらりと「どうぞ」と言った。

「えつ。いいの?」

「うん」リョウ君は米粒のついた口元に笑みを浮かべて言った。「だって、ボク、うなぎ嫌いだもん」

なんじゃい。お前の好きなのは、うなぎじゃなくって、鰻のタレのついたご飯だったんかい!

オレは、ポカンと口をあけたまま、無駄に失った3800円の冥福を祈った。




飛び込み台の底へ 六話

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必死に水を掻きあげて、オレはようやく水面に顔を出す。

一気に、まぶしい夏の太陽と、プールではしゃぐ子供たちの歓声がシャワーのようにオレに降りそそぐ。

まったく変わっていない現実の風景に、オレはほっと胸をなでおろす。

目的は果たせた。もう長居はもう無用だ。

オレは荒い息のまま、プールからあがると、シャワーで身体を洗い、更衣室に向かった。
それから迷うことなく服を預けたロッカーの前に立つと、

「ええと、18番。間違いなし、と」

鍵のついたタグとロッカーの番号を照合してから、鍵を鍵穴に差し込みロックをはずす。

「えっ?」

扉を開けると、驚いたことに、中に入っている衣服が自分のモノと違う。

オレは、ロッカーの扉を再び閉め、タグとロッカーに刻印された番号を確認し直す。
穴が開くほど、双方の番号を見比べてみたが、どちらも間違いなく18の文字が太く印されてある。

「どういうことなんだ…」

もしや、奥にオレの服があるかと思い、ハンガーに掛けられた見知らぬ者の衣服をかき分け、奥をのぞいてみる。
しかし、オレの衣服はどこにも見当たらない。

今度は、ロッカーの上や、鍵のかかっていない周囲のロッカーのなかを探してみる。
だが結果は同じで、どこをどう探してみても靴下一つすらオレのモノは見つからなかった。

「海パンのまま、帰ろってか…」

海パンのまま人混みのなかを帰る姿を想像すると、オレは目の前が真っ暗になった。

プールの管理人に事情を話して助けてもらおうかと思ったが、管理人はオレを不審者扱いしたあのキツネ面のオヤジだ。こんなありえない問題を相談すれば、犯人探しに協力してもらえるどころか、こっちが犯人にされてしまいかねない。

オレはプールに戻り、その服の持ち主らしき男がいないか探し回る。
しかし、プールにいるのは、中学生以下の子供たちと、その母親たちだけで、成人男性の姿はひとりもみつからなかった。

そんなことってあるか、と首をかしげながら、オレはトボトボと更衣室に戻る。

残された手は、持ち主を特定できるモノを探すことくらいだ。

泥棒のようなマネをしたくはなかったが、オレは衣服のポケットを探ってみた。
すると、ズボンのポケットから、本革の二つ折りタイプの財布とクルマのリモコンキーがみつかった。

さっそくオレは財布の中を調べてみる。
うまいことに、カードを入れるポケットから、ゴールドのクレジットカードが頭を出しているのが目に飛び込んだ。
オレはそれを抜き出し、カードに印された名前を確認する。

「おいおい、ホントかよ…」

なんと、オレと同姓同名のローマ字がそこに刻まれてあった。

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マリー

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マリー

そよ風の母。
穏やかに家族をみつめる優しいおばあちゃん。嫁とも、とても仲がいい。
老眼は進んでいるが、その他は健康そのもの。隠居はまだ早いと、外でも働く。

アルパカ星人、63歳。

飛び込み台の底へ 五話

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「えっ?」

声のしたほうを振り返ると、キツネのような顔をしたオヤジが仁王立ちでコチラを睨みつけている。

「なんでしょうか?」とオレは訊いた。

オヤジはキツネ目をつりあげて、にじり寄ってきた。

「なんでしょうか、はないだろう。アンタいくつ」

「二十八ですが…」

「馬鹿、年齢をきいているんじゃないよ。いい大人が、プールの入場料ぐらい払えねえのかって言っているの」

しまった! リベンジのことで頭がいっぱいになっていて、入場料のことをすっかり忘れていた。幸先の良さを喜んだ矢先のとんだ展開に、やっぱりついていない、とオレはひどく落胆した。

「すみません。何十年かぶりにきたもので、ちょっと忘れてしまって…」

オレは何度も頭をさげながら財布から小銭をだし、キツネオヤジに渡す。
脇をとおる子供たちが興味深げにオレたちのやりとりをみている。あまりの恥ずかしさに、カーッ、と顔が上気してくる。

「忘れるかね、こんな単純なこと」オヤジは舌打ちをしてお釣りを返すと、行け!と命令を下すように男子更衣室の方角に首を振り、「オイ。いくら久しぶりだからといって、海水パンツをはくのだけは忘れるなよ。ワイセツ罪なんて、シャレにならないからな」

いくらなんでもそこまで言うことはないだろう。小心者のオレもさすがに腹が立ち、何か言い返そうと思ったが、こどもたちが口をおさえて笑いをかみしめている状況にたえきれず、逃げるように更衣室にはいった。

オレの姿が完全に隠れると、やーい、フルチン、とはやしたてる子どもたちの声が聞こえてくる。
心が折れそうになったが、気持ちを立て直すために、リベンジ、リベンジ、と心のなかで何度もつぶやきつつ、脱いだ服を次々にロッカーに入れていく。
そして最後に時代遅れの海パンに履きかえると、いざ出陣、と気合を入れて更衣室を出た。

目的の飛び込み台には、三人の子供が並んでいた。
いい大人がそのあとにつくのも恥ずかしかったが、格好をつけて遠くで順番が空くのをまっていたら、すぐに順番を奪われてしまう可能性が高い。そうすれば、ますます恥ずかしい思いが延長されるだけだ。
オレは、ぐっと気持ちをこらえて、順番を待つことにした。

幸い、三人の子どもたちは自分たちの遊びに夢中で、オレの存在を意識している様子はない。
大騒ぎをしてチャレンジャーの飛び込みに注目する子どもたちの背後で、オレもそれを見守る。
そうしていると、あの当時に戻ったような錯覚に襲われる。

でも、今のオレは自分の順番がくるのをビクビクと待っていたあの頃とは違う。
建設現場では、もっと高所で仕事をすることがある。それにくらべれば、この程度の高さなど、屁みたいなものだ。

三人目の子供が水しぶきをあげて水中に沈むとすぐに、オレはさっと飛び込み台の前に移動し、最初の階段に足をかけた。
子どもたちはオレのことをチラチラと怪訝そうな目で見はしたが、あの頃のような意地の悪いことは誰も言わない。いや、言えない威圧的なオーラがオレからでているのだろう。もうオレは、弱虫なガキじゃない。

第一関門のリベンジに勝った! とオレは心のなかで叫びながら、ついに飛び込み台の頂上に立った。
三メートルの高さといえども、前方には25メートル・プールがひろがり、視界の邪魔になるものはないので、実際以上に高く感じられる。
それに、ステージの上に立っているような気分になるのは相変わらずで、ちょっと緊張してきた。

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オレは覚悟を決め、ふぅ、と深呼吸して、飛び込み台の先端に移動した。
それから目を閉じ、前にジャンプすると、足から身体を落下させた。

あっ、と思う間もなく、水面を突き破る衝撃はきた。

しかし、なかなかプールの先につま先が触れない。
まるで深海に沈んでいくように、いつまでもオレの身体は暗い闇に落ちていく。

オレは恐怖を感じ、水面に浮き上がろうと両手を激しくかいた。
息苦しさの限界にもだえながら何気なく底に目をやると、顔面蒼白の誰かが深い闇に沈んでいくのが見えた。
それは映画「タイタニック」で、レオナルド・デカプリオの演じるジャックが冷たい海にほうり出され、ついに力尽きて暗い海に沈んでいく情景を思いださせるものだった。

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惜敗 でも満足

にほんブログ村が主催する『オリジナルホラー小説トーナメント』に投稿した「死のスライドショー」が皆様のおかげで準決勝まで進みましたが、残念ながら決勝には残りませんでした。

決勝に残った二作は、どちらもさすがに素晴らしいものでした。私の実力がまだまだ及ぶレベルでないと実感した次第です。

でも、ブログを6月に開設して、翌月にはこのような成果を残せたことに満足しています。

未熟ですので、いろいろ失敗があると思います。
しかし試行錯誤しながら少しづつ成長していくものだと受け止めていますので、焦らず真心をこめて今後も書き続けていきたいと思っています。

今後もご支援よろしくお願いします。

リーフ

リーフ+のコピー_convert_20130726222023

リーフ

そよ風の父。
5年前、脳梗塞で半身不随になって以来、車椅子が必要な身になる。
痴呆症状もみられるが、あたたかい家族に恵まれ、いつもニコニコ、幸せそう。
彼のとんちんかんな言動も笑いに変えてしまうパワーがそよ風家族にはある。

アルパカ星人、66歳。

感謝!準決勝進出

この度、私の作品『死のスライドショー』が皆さまのご支援のおかげで、「にほんブログ村」の主催する「オリジナルホラー小説トーナメント」の準決勝に残ることができました。

この作品は不思議なことに、実際、夜中に目が覚めてなぜか顔だけ異常に暑かった経験を着想に書いたものです。

拙い小説ですが、みなさんに励まされ、日々更新しています。
本当に感謝します。
ご声援、ありがとうございます。
今後もよろしくお願い致します。

ミント

ミント+のコピー_convert_20130724223314

ミント

そよ風の妻。
グラマーで美人。
料理上手で、やさしく爽やかな良妻賢母。

アルパカ星人、33歳

飛び込み台の底へ 四話

初めての方はコチラから

市民プールに到着したのは、ちょうど正午であった。

計算したわけではなかったが、昼時はプールの混雑がやわらぐ時間帯だ。
昼飯を食べに帰る子どもたちが次々と自転車で帰っていく。
最初からツイていると思い、オレは思わずほくそ笑んでしまった。

「それにしても、本当に変わっていないな…」

オレは自転車を駐輪場に置いてから、周囲を見回す。

グーグルマップの映像で見たとおり、この辺りはまるでオレの小学校のころから冷凍保存されたかのように、恐ろしいくらい何も変わっていない。

この周囲一帯だけ何の進歩もないのか?

ここから一キロほど離れた新興住宅地では、あまりに風景が変わっていたため道に迷ったが、いったんここにたどり着く道がわかると、その道沿いも当時のままの風景が続いていたので、あとは迷うことがなかった。

見れば、駐車場で止まっている車も、なぜか年代物ばかりだ。

オレは当時の自分に戻ったような気になる。

ずっと願い続けてきた、もう一度人生をやり直すチャンスが本当にきたのかもしれない。

そう思うと、オレは心が踊った。

燃えるようなアスファルトのうえを駆ってきたので、汗みずくだ。早く汗を流してさっぱりしたい。

オレは額の汗を拭いながら、市民プールの建物の中にズンズン入っていった。

その時だった。

「ちょっと、アンタ」

背後から、オレを呼び止める声がした。

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青空

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青空

そよ風の長男。
そよ風家のアイドル。
アルパカレンジャー好きのやんちゃ坊主。
ケンシロウのことを呼び捨てにする。ケンシロウとの掛け合いがおもしろい。

幼稚園に通う5歳児。

飛び込み台の底へ 三話

初めての方はコチラから

オレとそっくりな少年の顔をみて、自分がふたたびあの中にいる錯覚にとらえられた。

あの出来事がおきたのは、小学四年生の夏休みだった。
オレはクラスの友達四人と、自転車でその市民プールに遊びに行った。

さんざん水の中でふざけあった後、いきなりガキ大将が飛び込み台を指さし、あれで度胸試しをしようと言い出した。
やろう! やろう!
オレを除いた他の二人はすぐに賛成して、そのうちの一人がジャンケンで順番を決めようと提案した。

冗談じゃない…。高所恐怖症のオレは仲間の輪から外れようと、みんなに気づかれないように静かに後退した。
しかし、「テメエ、なに逃げてんだ!」とガキ大将の一喝。
有無を言わせずオレはふたたび仲間の輪にひき戻され、強制的にジャンケンに加わらされた。

ジャンケンのルールは、勝った者から先に飛び込むというものであった。
消極的な姿勢が結果に反映されたのか、オレは一番最後に飛び込むことになった。

順番が後になればなるほど、恐怖感は高まるものである。
次々と高所からの飛び込みをクリアしていく友達を見るたびに、オレの心拍数は異常なくらい早くなっていった。

そして、ついにオレの番がきた。

みんなはオレが高所恐怖症なのを知っている。
仲間のうちの一人が、緊張で手足が小刻みに震えているオレを見て、「ヨオ、長く待ちすぎて、寒くなったか?」と意地の悪いことを言った。
他の仲間がそのつまらない冗談に爆笑しているのを見て、オレの心拍数はますますあがった。

這い上がるように飛び込み台のうえに立つと、オレは四つん這いの態勢のまま頂上からの眺めを見た。
その高さにも目がくらんだが、そこにあがるとステージの上にたったような錯覚におそわれ、プールで遊ぶみんながオレに注目しているように感じ、緊張感も頂点に達した。

「お〜い、はやくやっちまえよ!」

上で固まっているオレを見て、ガキ大将が急かした。
その圧力に押され、オレはやっとのことで立ち上がる。
しかし、そこから前に進まない。一歩も前に足が出ないのだ。

「お〜い。そんなところでちびるなよ。ションベンのシャワーなんてかなわないからよ」

口の悪い友達が茶化した。その声につられ下を見ると、絶壁のうえに立っているようで足がすくんだ。
もう、それが限界だった…。

「ゴメン。無理」

オレは泣きべそをかきながら、へっぴり腰で後ろ向きに階段を降り始めた。

惨事が起きたのは、最後の階段に足をかけたようとした時だった。
オレは足を踏み外し、階段の角でひどく顔を打ったのだ。

そのアクシデントで、右の前歯の先端が欠けてしまった(差し歯にかえるほどでもないので、以来そのままの状態だ)。

オレのヘタレ話は、すぐに学校にひろまった。
いつしかオレのアダ名は「マエバ・カケゾウ」となり、みんなから馬鹿にされるようになった。

その時から、オレはますます消極的になり、いつも何かの選択を迫られると、やらない方を選ぶようになった。

大学受験も一回失敗しただけで逃げて、適当なところに就職してしまった。
しかも、そこもちょっと怒られただけで辞めてしまった。
あとはバイト暮らし。どこも長続きはせず、今は土建屋でバイトをしている。

この消極的な性格を直さないと、どんどん転落して一生を棒に振ってしまう恐怖に毎日苛まれている。
けれど、なかなか自分の性格を治すことはできない。

自己嫌悪に陥るとき、いつも思うことがある。
人生を狂わした、踏み込み台の上にたったあの瞬間に戻って、もう一度リベンジしたいと。そうすれば、人生がかわるのではないかと思うのだ。

オレは、グーグルマップに映っている飛び込み台の上にいる少年を見て、ふと思った。今がその時ではないかと…。

そうなれば、「善は急げ」である。
オレは、クロゼットの奥にしまいこまれた海パンを探しだし、それをリックに突っ込むと、真夏の太陽に焼けつくサドルにまたがり、あの場所にむかって力強くペダルをこいだ。

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ギース

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ギース

ラマ星にあるラマ観光の添乗員。
地球旅行の最中にケンシロウとそよ風がアクシデントで接触した不祥事がラマ観光の耳に入るのを非常に恐れている。
この不祥事を絶対に口外しないという条件で、ケンシロウの抹殺を諦めたが、心配なので時々アルパカ星に様子をみにくる。
嘘がバレそうな状況を確認できたら、今度こそケンシロウを抹殺するつもりでいる。

44歳、オス。家族構成不明。





飛び込み台の底へ 二話

初めての方はコチラから

グーグルマップを開くと、オレはさっそく目的地の付近にヒトをおろす。

ロースペックのパソコンなので、ストリートビューの表示にちょっともたついたが、じきに大通りに面した三階建ての某家電量販店の建物が映し出される。

この通りには、スーパーマーケットやドラックストア、ブックストア、ファミリーレストランなどが並んでいる。要するに、典型的な郊外商業地だ。

オレもたまに買い物に行くので、この風景は見慣れている。

オレが小学生の頃は、このあたりは田園地帯だった。

しかしあまりに開発が進み、今はどこにも当時の面影を忍ばせるものはない。
正直、どの道をいけばアノ場所にたどり着くのか見当がつかなくなる。

というか、あまりに遠い記憶になっているため、当時の風景のままであっても、アソコに迷わず行ける自信はない。

ひょっとしたら、アノ場所は本当は存在していなかったのではないか。そんな疑いをもってしまうほど、アノ出来事以外の記憶は薄らいでしまっている。

オレはいったん、ヒトを戻し、ビューを地図に切り替えた。
地図を拡大してアノ場所を確認してから、ヒトをおろしたほうが手っ取り早いと考えたからだ。

それが正解で、すぐにアノ場所は発見できた。

オレは、その場所にヒトをおろす。

息を呑んで映像をまっていると、いきなり民家のブロック塀が現れる。
ヒトの向きが逆だったようだ。

ヒトの向きを旋回させながら周囲の風景をみると、驚くぐらい昔と様子が変わっていない。この一帯だけ、時間が止まっているかのようだ。

そしてついに、アノ場所が映った。

「おっと、こちらも全然変わっていない」

その場所を囲む住宅も、青々とした水田も昔のままだ。
そして、あの苦い出来事がおきた市民プールも当時のまま存在してる。

オレは、あの出来事が起きた飛び込み台に視線を移す。

「まさか、そんなことが…」

道路沿いに面した青い金網のフェンスのむこうに、三メートルぐらいの高さの飛び込み台がある。
飛び込み台には一人の少年があがっていて、下では三人の少年たちがその様子をはしゃいで見守っている。

もっとよく確認してみるために、できるかぎり飛び込み台の近くまでヒトを近づけ、映像を拡大してみる。

「やっぱ、オレに似ている…」

飛び込み台の上から、今にも泣きそうな表情で下の悪ガキたちを見下ろすその少年の顔がオレの子供ころとそっくりだったのだ。

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そよ風

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そよ風

ラマ観光の企画した地球旅行で迷子になったときにケンシロウと出会う。
ケンシロウを抹殺することで地球人と接触した不祥事を隠そうとするラマ観光の添乗員を説得し、ケンシロウを救う。
しかしそのかわり、この不祥事を極秘にすることを約束させられ、ケンシロウの面倒もみなければならないはめに…。

アルパカ星人。38歳。愛妻家。一男一女の良きパパ。同居する両親も大切にする孝行息子。


ケンシロウ

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ケンシロウ

地球では上司に怒られてばかりのダメサラリーマン。
落ち込んで自殺の真似事をしたら本当に橋の上から川に落下してしまい、そのアクシデントがそよ風と出会うきっかけに。
地球人に接触したことをバレるのを恐れるラマ観光の添乗員に殺されそうになったが、そよ風の機転で救われる。
しかしそのかわりアルパカ星で暮らすはめになる。
あの事故のことを秘密にしないと、ラマ観光の添乗員に今度こそ抹殺されるとそよ風に聞かされ、かなりビビっている。
ここでは、地球で知り合ったそよ風の友人ということになっている。
いつか地球に帰りたいという願望を持つ。

25歳。ついでに彼女いない歴25年。アルコールの勢いを借りて合コンで猛烈アピールするも、いつしかただのウザイ酔っぱらいになり、女の子たちからドン引きされるパターンを繰り返す。

胸部から腹部にかけて『北斗の拳』のケンシロウと同じ北斗七星型のホクロがあるのが自慢。

飛び込み台の底へ 一話

猛暑が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
皆様に、少しでも涼んでいただこうと思いまして、ちょっと不思議でヒヤッとするショートストーリーを書いてみました


二度寝も飽きるほど、オレは日曜日の朝をベッドのうえでダラダラと過ごしている。

週に一度の貴重な休日なのだから、もっと早く起きて有意義な時間の使い方をしなければもったいないと思う。
しかし、身体がいうことをきかないのだ。

連日の炎天下での重労働で身体が鉛のように重い。

また、その不快な労働環境でいらだつ作業員たちは、毎日のようにくだらないことでいさかいを起こす。
臆病なオレは気の荒い作業員なかまの機嫌を損ねないように神経をすり減らし、そのストレスで精神もくたくたに参っているのだ。

それに遊ぶ金もない。
安い賃金で働かされているので、アパートの家賃に食費、光熱費、インターネットやスマホの通信料を払えば、あとはいくらも残らない。

遊ぶ相手もいない。
30歳近くになるが、ひとりの彼女もできない。
引っ込み思案なオレは、気になる女性がいても声がかけられないのだ。
それにこんなボンビーな生活では、みごと彼女をゲットし結婚にたどりつけたとしても、どうやって養っていかれよう。オレにはなんの取り柄もない。何かで成功し、セレブになれる可能性は0だ。
このままでは一生独身だと思うと、遊びで浪費するより、一円でも多く老後のために貯金したい。

従ってクルマを買える身分ではない。こういうことからも、余計に出不精になってしまうのだ。

今週もリフレッシュされない休日の過ごし方になるのかと、深いため息をつきながら枕元の時計を見る。

時計の針は、9時37分をさしている。
この時刻になると、夏の強い日差しがベッドに差し込み、眠ろうにも眠れない。

「じゃ、起きるとするか」

オレは重い腰をあげてベッドを離れると、洗顔などをチャチャと済まし、昨日仕事帰りにコンビニで買った菓子パンで空腹を満たした。

あとは暇つぶしに、ネットでもみようかと、狭いテーブルの上においたノートパソコンの電源を入れる。

ネットを開くと、まず最初に見るのは、ヤフーのニュースだ。節約のために、新聞をとっていないので、これだけは欠かせない。
今日は、とりたててこれといったニュースはないので早々にヤフーを閉じ、後は何をしようかと適当にネットサーフィンをしながら考えた。

「ドライブがわりに、グーグルマップでどこかに行った気になるか」

我ながらわびしい選択だと思いながらグーグルマップを開いてみる。

といって、行ってみたい場所も思い浮かばない。
前に旅行したところや昔住んでいたところに降りてみて、当時とどのくらい景色がかわっているのか確認するのが、グーグルマップの最大の楽しみ方だと思うのだが、旅行もほとんどせず、よその場所で住んだ経験のないオレにとっては、そういう楽しみは味わえない。

つくづくつまらない人生だと唇をかんだとき、欠けた右前歯の感触で、ふとある苦い記憶がよみがえってきた。

「そういえば、あの時以来、アソコにいっていないな。小学生のときからだから、ずいぶん様子もかわっているだろう。もしかしたら、アレ、もうなくなっているかもしれないな」

いま住んでいるアパートから、5キロ程度しか離れていないのに、20年近くも訪れていない、いや、近寄ろうとしないアノ場所のことが気になりだした。

その付近は、地元で最も開発が進んでいて、この10年で景観がまったく変わってしまった。となれば、アノ場所も昔のままであるはずはない。

そう思うと、現在の景色を確認してみたくて仕方なくなってくる。

「ちょっと、見てみるか…」

月に決まって二、三回みる悪夢の中で、なぜか意思に反して行かされるアノ場所に、オレは初めてグーグルマップを使って訪れてみることにした。

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アルパカのような雲

「土用半ばに秋風が吹く」

なんて言いますが、昨日あたりから本当に秋のような風が吹き、そで無しのシャツで寝たら風邪をひきそうでした。

明日から、梅雨に戻ったような天気になるそうな。
チャリ通勤のボクにとっては、ちょっと心配な週になりそうです。

ま、でも雨が降っても、「いいお湿りだ」と思わなければいけないんでしょうね。
農作物や植物にとっては、恵みの雨なんですから。人間中心に物事をとらえてはいけません。

それに天候が不安定だと、ふだん見られないようなおもしろい模様の雲も見られます。



どうですか。まるでアルパカの毛のようじゃありませんか。

思わずパチリと一枚撮影してしまいました。

第十九話 そよ風ファミリー

★初めての方はこちらから★

自己紹介で大スベリしたケンシロウは、決まり悪そうな表情でランニングシャツを着直しました。

「おにいちゃん、今のなに? アルパカレンジャーの新しい変身のポーズ?」

このままそっと終わらせてもらいたかったのに、青空にそう訊かれ、ケンシロウは弱ったなと頭をかきました。
しかし、早くこの話題を終わらせてしまいたかったので、

「そう、よくわかったね。これはアルパカレンジャーの、超、超最新の変身ポーズなんだよ。ワハハ」

と適当なことを言って、逃げました。

「へえ、そうなんだ。すごいな」青空は尊敬のまなざしでケンシロウをみつめ、「じゃあ、アルパカレンジャーのなかで誰が好き?」

「えっ。そ、そうだな…」

やはり無垢な子供にいい加減なことは言うもんじゃありません。
ケンシロウはますます窮地に追い込まれました(アルパカ星では「北斗の拳」がやっていないように、地球では「アルパカレンジャー」なんて戦隊ものはやっていないんだよ~)。
でも、まあ、リーダーが着るスーツは赤が定番だよなと思い、

「赤のが好きだな」

しかし青空は不満げに、「え~、赤」

「赤っていなかったっけ?」

「いるけど、赤って悪役のラマ総統の色だよ」

「あっ、そうだったけ、ハハハ」

なんじゃい! 所変われば品変わるじゃな。ケンシロウは笑ってごまかすしかありませんでした。

「コレ、青空。お兄さんは長旅で疲れているんだから、あんまりお兄さんを困らせるような質問するんじゃありません」見かねたそよ風が助け船をだしてくれました。

「は~い」素直にきいてミントの後ろに隠れる青空。やれやれ、ようやく引き下がってくれました。

「おなか空いていませんか?」ミントは甘えてしがみつく青空の頭を優しくなでて、ケンシロウに言いました。「朝食用意してありますので、よろしかったら」

「あっ、ありがとうございます」ケンシロウはペコリと頭を下げ、腹部をさすりながら、「おなかペコペコなんで、有り難くいただきます」

「じゃ、こちらへ」

ミントに案内のもとに、ケンシロウは玄関から居間に通されました。

「わっ!」居間の光景をみて、ケンシロウは思わず声をあげました。
テーブルに広げられた朝食の内容に驚いたわけではありません。
ていうか、朝食なんて目に入らないくらいの衝撃的なシーンが彼の目に飛び込んできたのでした。

居間には、車椅子にのった老いたオスのアルパカ星人と、それに寄り添う同年齢くらいのメスのアルパカ星人、さらには彼のひざにケットをかけてやっている、清純そうな思春期ごろのメスのアルパカ星人がいたのです。

「こ、これは…」ケンシロウはそよ風に訊きました。

「ああ、ボクの両親と娘ですよ」そよ風は笑顔で答えました。

第19話+のコピー_convert_20130720083524

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★あらすじ★

迷い猫のその後報告

迷い猫の「ガガ」、無事うちに戻ったそうです。

よかったですね。

といっても、はじめてアクセスされた方は、なんのこっちゃって思われるでしょうね。

話せば長いので、詳しい内容はコチラ

高田純次+のコピー_convert_20130719195855

演説は公平に

参議院選が近づいて来ましたね。
今日うちの会社にもある政党の立候補者が挨拶にきました。
その立候補者はサラリーマンで言えば65歳・定年間際のご高齢の現職議員。お供に、若手の二世議員をひきつれて来ましたね。

演説は社員食堂で、我々の唯一の憩いの時間である昼休みの時間を活用して行われました(毎度のことですが)
ご高齢にもかかわらず、熱弁でしたね。激しいジェスチャを交え、近くにいたお食事中のみなさんのランチに公平にツバが飛ぶくらいの勢いでしたから。劣勢だった前回に比べ、今回は過半数超の勢いがありますので、元気が違います!

自己陶酔の熱弁が終わると、次は全席をまわり食事中の皆さんと一人ひとり「よろしくおねがいします」と投票依頼の握手。

これもよく観察しているとおもしろいんですね。いろんな社員がいますので。

年の割に大食漢のKさんはマヨネーズギトギトの唇に満面の笑みを浮かべ立候補者と握手。いやぁ、さすがにブキミであちらさんもひいてましたよ。

筋金入りの共産党員のIさんは、握手を求められると、後ろに両手をまわし断固拒否。立候補者だけでなく、隣にいた女子社員まで困惑していましたよ。

そのほか、小泉さんは最近見ないがご存命なのか訊く人、生活が苦しいので子ども手当の継続はお願いしますと懇願する、「笑点」の座布団運びで有名な山田隆夫のように子沢山な人、原発再開はゆるさんと声を荒げる、いつもテレビとエアコンの近くを指定席にしている人など、バラエティ豊かでしたね。

立候補者も立候補者で、うちの会社のマドンナには他の人よりながく握手していた気が…。年は食っても、英雄色を好むってわけですかね。

朝礼で、「失礼のないように」って釘を刺されていたにもかかわらず、思いっきり失礼してしまいました。

それにしてもなんですな〜(「探偵ナイトスクープ」の桂小枝風に)
いつも思うのですが、会社が支援する政党の立候補者しか演説を許さないというのは、あまりよろしくないのではないでしょうか。
他の政党の立候補者に対してだけでなく、その特定政党の立候補者の演説を延々と聞かざるをえなくなる社員に対しても、公平さを奪うことになりますので。

しかし、スマホでも、カーナビでも年々進化していくのに、なぜ政治だけが退化していくのでしょう?
やっぱり政治家の質に問題があるのですかね。

こうした問題を是正するのに「定数削減」という手法がよく挙げられますが、それは十分だとは思えません。
なぜならそれは、人件費を削ることにはなっても、人材や議論の質を高めることにはあまり関係ないからです。

ならば、どんな手があるのか。
思いついた、愚案をいくつかあげてみたいと思います。

①60歳定年制=国民に定年制を強いるのなら、自分たちもそれを適用すべき。

②立候補資格試験=医師、弁護士より責任が重く難易度の高い仕事をする政治家が無試験というのは理解できない。

③与党過半数以上禁止=数の力による暴走政治を防ぐため。二大政党の状態が「ねじれ」で良くないというが、よくないのは、数の力が拮抗していることよりも、他を圧倒するいい政策がだせないことではないか。国会とは、そもそも暴力ともいえる数の力で議案を通す場ではなく、優れた政策の力、議論の力で、議案を通す場だと思う。

④当選者試用期間制度=会社と同じで試用期間が必要。仮選挙を行い、一年間その人の仕事ぶりを見るというフィルターを通し本選挙を行い、より優れた政治家を選ぶ。

⑤評価報酬制度=政治家になれば、みなおなじ給与というのはおかしい。在任期間は7割の給与を支給し、在任期間がきれたら、選挙に合わせて評価を行い、満額支給するかどうか決める。落選したら、5割に減額。

⑥投票評価制度=責任をもって議案を投票してもらうために、正式な文面に押捺して氏名を記入し、10年後、もし賛成したその議案の評価が低かったら、責任をもって賠償金を払うと約束させる。

厳しいかもしれませんが、以上のようなことをやれば、より緊張感をもって良い政治が行われるようになると思うのですが、どうでしょう。

こんなカメの恩返しは嫌だ

久しぶりにカメムシを見ました。

枕元で。

夜中目が覚めて、ふと枕元をみたら、枕の間近に茶色い五角形のゴミみたいなのがあったんですよ。

なんだと思って目を近づけてみると、カメムシでした。

ギョッとしてしまいました。
だってカメムシって臭いんですよ。別名「屁こき虫」って言われるくらいですから。
雑学ですが、カメムシを瓶の中に入れ、わざと刺激し屁をこかし、急いで蓋をすると、なんと自分の屁の臭さで死んでしまうことがあるそうですよ。まさしく殺人兵器、恐るべしカメムシの屁です。

それにしても危機一髪でした。うっかり寝返りをうって、カメムシを刺激し屁でもこかれたら、大惨事になるところでしたので。

後は、これをどう始末するかです。

たいていボクは、捕まえた虫は外に放してやります。
「一寸の虫にも五分の魂」です。救ってやったら、どんなに喜ぶだろうかと想像すると、簡単に命を奪えません。ええ、たとえカメムシであろうとも。

というわけで、刺激しないようにティッシュでやさしくカメムシをつまむと、外に離してやりました。もう二度と戻ってくるんじゃないぞー。

一件落着です。
それにしても、キッチリ網戸を閉めてあるのに、どこから入ってきたんでしょうね。

カメムシを家の中で見たの子供の時以来です。あのときは、自分の布団と父親の布団の間に、ふざけて顔を挟んで遊んでいたら、いきなりカメムシが目の前をコソコソと這っていったんですよね。

あの時のカメムシは緑色でした。
カメムシにもいろんな種類があるんですね。

調べてみたら、「エサキモンキツノカメムシ」ってのは、背中にハートの斑紋があるそうです。
そんなかわいい容姿でいきなり臭い屁をこかれたら、余計に参ってしまいますね。
可愛い子ちゃんに、いきなり臭い屁をこかれるようなものですから。鼻がやられるどころか、百年の恋まで覚めてしまいますよ。

カメムシって種類によっては、益虫でも害虫でもあるそうです。
ボクの助けたカメムシはどっちなんでしょう?

でもどっちでもいいです。
カメムシが恩返しに竜宮城につれていってくれても、途中で臭い屁をこかれたらたまらないですから。残念!

カメムシ+のコピー_convert_20130717202312

ねじまき鳥と月曜日のガガ

十年ぐらいまえ、ボクは村上春樹さんのファンで、彼の全作品を読破していました。

そのなかで好きだったベスト3をあげますと、

1位 「午後の最後の芝生」
2位 「ねじまき鳥と火曜日の女たち」
3位 「めくらやなぎと眠る女」

となっております。
どれも短編で、村上ファンがあまり選びそうにないものばかりだと思います。

昨日、つまり7月15日(月曜日)「海の日」に、2位にあげた「ねじまき鳥と火曜日の女たち」のような出来事がありました。

その出来事を話すまえに、ちょっとその作品を要約してみたいと思います(「ねじまき鳥と火曜日の女たち」の内容を知らなければ、読者のみなさんも何がどう似ているのかわからないと思いますので)。

主人公は三十歳の男で、現在失業中。
かつては優秀で弁護士を目指していた。しかし知らないうちに歯車が狂い、弁護士にはならず、法律事務所の「専門的使い走り」のような役割で終わってしまった。
今は情熱もなくなり、弁護士を目指す夢もない。

主人公は妻とふたり暮らしだ。妻はデザイン・スクールで事務の仕事をしている。主人公が仕事を辞めても、食べていかれるくらいの収入をもらっているので、失業保険が切れないうちに次の仕事をさがせば生活に困らない。

物語は、妻が仕事にいっている最中、主人公が昼食のスパゲティーを作っているところからはじまる。

調理中に変な電話がかかってきた。
電話の主は知らない女。しかし女は主人公のことをよく知っているという。しかし女は自分の正体を明かしたがらない。主人公がそのことに触れると、電話を勝手に切ってしまった。

しばらくしてまた電話がかかってきた。
今度は妻からだ。妻の電話は、夫へのバイトの話だった。しかし主人公はその話をことわる。法律事務所への再就職にこだわっていて、そんなレベルの仕事はできないというわけだ。
妻は、それならば主夫にでもなればいいという。主人公はその提案に怒りもせず、「考えてみるよ」と答える。

妻は話を切り替え、猫を探してきてくれと依頼する。
妻の推測によると、猫は『路地』の奥の鳥の石像のある空き家の庭にいるという。
主人公は近所であっても、そんなところ知らなかった。なぜ妻が「路地」のことを知っているのかも不思議に思った。

外は初夏の明るい日差しが差していて、ネジでも巻くようなギイイイッという鳥の鳴き声がする。
その鳥のことを我々は「ねじまき鳥」と呼んでいる。妻がそう名づけたのだ。その鳥は毎日、我々の属する静かな生活のネジを巻きにくる。

主人公は猫を探すのに乗り気ではない。
どこへ行こうが猫の勝手だし、こんなのいい大人のする仕事じゃないと思っている。

買い物に行って帰ってくると、また例の女から電話があった。
その女はまた主人公のことを知っていると言う。
さらには、「あなたの頭の中のどこかに致命的な死角ある」と言い、そうでなければ主人公ぐらい能力のある人間ならば、今頃もっとマシな人間になっていると指摘する。
そして昔はアナタのことを好きだったと言った。

主人公はバカバカしくなって電話を切った。
再び電話のベルがなったが、今度は受話器をとらなかった。

二時少し前に猫を探しに、路地に行った。
その路地は、入り口も出口もない本来的には路地とはいえないような代物だった。
道幅1メートル程度、長さ二百メートル程度の路地は、家々の裏庭のあいだを縫うようにして続いている。
こんなヘンテコな路地を、どうして妻が何度も出入りしたのか見当もつかなかった。

主人公は汗をカキカキ路地の風景をゆっくり観察しながら歩き、ついに妻が教えてくれた鳥の石像がある空き家に着いた。

が、猫はいなかった。

主人公がタバコをくゆらしながら、しばらくその空き家の庭をぼんやり眺めていると、向かいの家の十五、六の女の子に声をかけられる。

女の子に何をしているのかと訊かれ、猫を探している答える。
それから猫の特徴などを説明すると、その女の子は見たことがあると言う。

女の子は、うちの裏庭は猫の通り道になっているから、ここで待ってみればどうかと提案する。
主人公はそれに甘え、女の子とならんでデッキ・チェアに座り、他愛もない話をしながら猫を待った。

しばらくすると、軽い眠気を感じた。目を閉じて女の子の声を聴いていると、目を開けて聴いているときの娘の声と目を閉じて聴いているときの娘の声は、まるで違って聞こえることに気づく。
いったい俺はどうしてしまったんだろうと思っていると、飼い猫の姿すら思い出せなくなっていることにも気づく。
夢うつつのなかで、あの女が現れ、「あなたの頭の中のどこかに致命的な死角があると思わないの?」と静かに言った。

目を開けると、娘はいなかった。
しばらく待っても娘は戻ってこなかったので、家にひきかえした。

夕方、電話のベルが鳴ったが、主人公は受話器をとらなかった。
ベルが鳴り止んだ後の余韻にひたっていたら、この世界が機械仕掛けのようなものに感じられた。
ねじまき鳥が世界のネジを巻くために一日一度やってきて、ボクはただ虚しく年をとっていくみたいだ。

妻は残業を終えて帰宅した。
夕方、少し遅くなることを伝えるために電話をかけたのになぜ出なかったのか妻に訊かれ、主人公は嘘をつく。
猫のことも訊かれたが、見つからなかったと答えた。

妻は風呂からあがると、電灯を消した居間の暗闇でひとりぽつんと座っていた。
どうかしたのか、と主人公がたずねると、猫が死んだのはあなたのせいだと、妻は責めてきた。
主人公は、君ほどあの猫のことは好きじゃなかったかもしれないが、いじめたことはないし、飯もボクがやっていたと反論する。
しかし、妻は「自分では手を下さずにいろんなものを殺していく」のが主人公の人柄だと言った。

猫がいなくなったのは、ねじまき鳥がお前のネジを巻かなかったからか、と主人公は問う。
主人公は今日を、出鱈目な年の、出鱈目な月の、出鱈目な一日だったと思い、台所でひとりビールを飲む。

ビールを半分ぐらい飲んだところで、また電話のベルがなった。
妻に出るように怒鳴ったが、妻は嫌だといった。主人公も断じて受話器をとる気はない。
いつまでも電話のベルは暗闇のなかで鳴り続けた。

以上が小説の内容です。

短くまとめるつもりでしたが、「要約力」がないので長くなってしまいました。

しかもボクは「理解力」が欠けているようです(ボクの頭のなかの致命的な死角はココか?)。
これだけ長々内容をまとめてみても、ハルキさんがこの小説で何を言いたいのかよくわかりません。

謎の電話の主が奥さんで、どんどん歯車がずれていく人生をたどる主人公から心が離れていき、夫婦が崩壊していくというストーリーではないかと解釈するのですが、だからそれを書いて何の成果があるのかわからないのです。
ノーベル賞の候補にあがるくらいの人なのだから、もっと深い意味があるに違いないと期待してしまうのはおかしいでしょうか。

ハルキさんの文はとてもわかり易いですが、内容は難解で一筋縄ではいかないのが特徴です。
簡単にわかってたまるかという世界を書くのが小説家というものだとある作家が言っていましたが、そういうことなんでしょうね。

そこで、今回似たような出来事があったので、自分もその世界を少し経験してみれば、ちょっとは何か得るものがあるのではないかと思ったわけです。

事件はお昼前に起きました。

ブログを書き終えて、ひと息入れに外に出てみると、車庫の前に猫の首輪が落ちていました。
その首輪には、「ガガ」と言う名前と、飼い主の電話番号が書いてありました。

さっそく、その電話番号にかけみると、近所の方が飼い主だとわかりました。

首輪をとりにきた飼い主は、「まだ猫は帰ってきていない」と心配そうに言いました。
家の中で飼っている猫なので、余計に心配なのでしょう。

飼い主が帰った後、ボクは独自に猫を探してみました。

家の裏にまわり、空き家となった裏のうちの庭を隈なく眺めていると、オナガが「ギイイイッ」とネジを巻くような声で鳴きました。

その時、そういえばこの感じ、村上春樹の「ねじまき鳥と火曜日の女たち」のなかの猫を探しに路地に入ったシーンに似ているなと思ったのです。

確か、あの猫の名前は、「ワタナベ・ノボル」って、おかしな名前だったな。
で、ご近所さんの猫の名前は、「ガガ」か。どうせ人名を使うなら、「レディ・ガガ」とフルネームにすればよかったのに。

ガガ+のコピー_convert_20130715182044

なんて思いながら探し回りましたが、小説と同様、猫は見つかりませんでした。

で、追体験をしてわかったことといえば、ねじまき鳥とはオナガらしいという収穫ぐらい(頭のネジでも巻けば、もっと賢くなるんですかね)。

それとも、もっと深い追体験をした「ガガ」なら消えた猫の気持ちわかるかも。

おーい!

ガガ
お前はどこにいるのだ?
ねじまき鳥はお前のねじを
巻かなかったのか?

飼い主が心配しているんだから、早く帰ってやれよ〜。




弱腰は負けか?

通勤途上で時々すれちがう人で、絶対に道をゆずらない人がいます。

年齢は40~50代ぐらい。180センチぐらいの長身で、体つきは筋肉質。もじゃもじゃの髪の毛に口ひげをはやし、顔はいつも無表情。細い目は一点を凝視したまま微動だにせず、薄い唇はギュッと一文字に結ばれ、頑なに誰にもこころを開かない雰囲気をプンプンにおわせていて、見るからに異様なのです。

服装も変化に乏しいです。
いまの季節は、いつもよれよれのカーキー色のTシャツに洗いざらしのGパン姿。冬も同様に変化がなく、踊る大捜査線で青島刑事が着ていたようなカーキー色のコートをその上に羽織るというもの。
オマエはマンガのキャラか! と、つっこみたくなるくらい、いつも同じ服装なのです(同じものを何着ももっているのですかね)。

歩いている姿は、まるで「進撃の巨人」のようです。
両腕をだらりと垂らし、ノシノシと歩みを進めるのです。見れば、両足首には、スポーツ店なんかで売っている重りを巻いています。
しかし、何より特徴的なのは、絶対顔を上げない点です。耳にはイヤホンをつけ、うなだれてた姿勢を崩さず前進する様は、危険人物以外の何者でもなく、小生意気な男子高校生にすら素直に道を譲らせてしまうオーラがあります。

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過去に一度、その「進撃の巨人」に危うくぶつかりそうになったことがありました。
猛スピードで坂道をくだってくる男子高校生の運転する自転車をよけるタイミングと、「進撃の巨人」と行き違うタイミングが運悪く合ってしまったのです。
とっさに、肩をすくめて接触を免れましたが、本当に間一髪でした。
「おっと、すみません」
すれ違いざま、ボクは謝りましたが、巨人はこちらを一目もせず、「ちゃんと前見て歩け。ボケ」とボソッと文句を言い捨てて、そのまま行ってしまいました。
どっちが前を見て歩けだよ、と腹が立ちましたが、前に読んだ『人生は負けたほうが勝っている』(幻冬舎新書・山﨑武也著)に、危険人物に文句を言ってもろくな目にあわないから相手にするな、と書いてあったことを思い出し、怒りをおさめました。

偶然ですが、巨人の自宅を知ることができました。
彼の家は、通勤途上の土手下にあります。
住宅も彼と同様に、表情もクソもないものです。狭い敷地に築30年くらいの白壁の四角い家がドンとたっているだけ。また、狭い庭にも、手入れされていない植木が2.3本うわっているだけで、なんの華もありません。

この「進撃の巨人」は相当な筋トレ・オタクのようです。
いつか、夜彼の家のまえを通ったとき、二階のカーテンを開け、上半身裸で筋トレにはげむ彼の姿を目撃しました。
また、休日に、土手の道路をジョギングしている姿を何度も目撃しています。
その道路は道幅が狭く行き交うクルマと接触するリスクが高いので、大抵の人はそんなところをジョギングコースに選ばないのですが、我が道を行く彼にはそんな配慮はないようです。
通勤の時と同様に、多くのドライバーに迷惑をかけていても、平然と意に介しません。

こういう社会性のない人物は、ちゃんと会社でコミュニケーションがとれているのでしょうか。
ボクは彼がどんな会社につとめているか、興味津々になってしまいました。
しかし、勤務のある日は、一分でも早く会社にいって仕事の準備をしたいので、彼を追跡する余裕はありません。

しかしついに、追跡のチャンスが訪れました。
有給休暇をとったある日の早朝、そうだ、あの巨人の会社をつきとめてみようと思いつき、勤務日と変わらぬ時間に朝食をとると、いそいで自宅を飛び出し、いつも彼とすれ違うあたりの死角に身を忍ばせ、彼が姿を見せるのを待ちました。

彼はいつもと変わらぬ時間に現れました。
ボクは彼が目の前を行き過ぎると、10メートルほど間隔をおいて後をつけました。
こういうとき、地面から決して顔をあげず、前進するのみの彼の流儀は助かります。絶対に後ろをふり向かないので、とにかく追跡しやすいのです。
ボクはただ周囲にストーカーをしていることがバレないように、自然に振る舞うことだけを注意していればいいのでした。

ボクは、彼はどこかの小さな家具工房にでも勤めているのではないかと予想していました(誰とも口をきかず、もくもくと家具を組み立てる姿しかピッタリくる職業はありませんでしたので)。

しかし、予想は大ハズレでした。

彼はここらで最も大きな会社である、無線会社に勤務していました。
彼は、その会社の大きな門をくぐり、無愛想に守衛に社員カードをみせると、同僚の誰とも挨拶を交わさず、工場の奥へと消えていきました。
考えてみれば、大勢の工員のなかに混ざって、無言で流れ作業に勤しむ姿も、彼に合っているのかもしれません。

それにしても、彼は職場でもあんなかんじなのでしょうかね。
人間関係は、譲り合いのなかで良く構築されていくのだと思います。
それを、誰にも道を譲るものかという態度を職場にも持ち込めば、衝突ばかりで、敵を増やすだけになってしまいます。
そうなれば、出世もできず、会社では強者であるどころか、弱者として生きなければならなくなるでしょう。

頑として道を譲らないという態度の人物に合うと、ボクもときどきこっちも負けるものかと思うことがあります。
でも、そんなものに勝ったって意味がないし、けんかになっても損をするだけだと思うと、すぐに考えを改め、道を譲るほうを選びます。

この態度を、「弱腰」と思うかもしれませんが、歴史をみても「弱腰」だと思われるのを嫌って悲劇を招いた例をあげればきりがありません。

江戸幕府を弱腰だと非難した攘夷派が招いた悲劇をはじめ、その攘夷派がつくった新政府から逃げることは弱腰だという説に押され、悲劇の道を突き進んだ会津藩、第二次世界大戦であそこまで被害を拡大させたのも、弱腰は恥だという声の大きさに責任の一端があるといえるでしょう。

もちろん、現在の政治にも、道を譲るのを嫌うような、馬鹿な意地の張り合いがあります。
我が国も、挑発してくる近国も、反省がない、反省をした、と言い合っていますが、道を譲らず悲劇を招いたという愚かな歴史を、再び繰り返すようなことをしている点では、互いに学んでいないと思うのですが、どうでしょうか。

「奇妙な男、不思議な人物」トーナメント2位作品

人生の応援歌

ボクには人生の応援歌があります。

それは、山下達郎さんの「希望という名の光」です。

この曲は、応援歌にピッタリの歌詞で凝縮されているので、きっと多くの人にとっても応援歌になっていることと思います。

ボクもつらい目に遭ったとき、自然とこの歌の一節である「運命に負けないで~」のメロディが胸のうちに流れてきて、ナニクソと困難を乗り切る勇気をもらっています。

そういうとき、つくづく歌の力ってすごいなと思います。

毎週日曜日に放送される「山下達郎サンデー・ソングブック」で、この曲が流れるたびに胸にジーンときてしまいます。本当に名曲です。

今日も生きる勇気をもらいました。ありがとうございます。山下達郎さん。

第十八話 大スベリの自己紹介

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「パパ?」青年は呆然と、幼いアルパカ星人を見つめながらアルパカ星人に訊きました。

「あっ、これボクの息子なんです。青空って名前です」アルパカ星人は青年の問いかけ明るくに答え、青空という彼の息子に言いました。「コレ、お兄さんに挨拶しなさい」

「ちわーっ」かわいらしい声で青空はペコリと青年に頭を下げました。

「なんだ、その挨拶は。まったくしょうがないなぁ」アルパカ星人は青空をしかると、スミマセンと青年に謝った。

「あっ、いや」青年は動揺を隠しながら何でもないと手をふり、「元気があっていいじゃないですか」と愛想笑いを返しました。

すると、「青空~!」とどこからか声が聞こえてきて、青空の後ろにグラマラスなアルパカ星人が現れ、「もう幼稚園に行く時間よ。早く支度しないと」

青年はふたたび驚きのあまり声を失いました。

「大丈夫ですよ。彼女、ボクの妻ですから。ミントって名前です」

「はじめましてミントです」グラマラス美人のアルパカ星人は笑顔で青年にお辞儀すると、「どなた?」と小声でアルパカ星人に訊きました。

「ホラ、夕べ話した、地球で知り合った友人だよ」

「ああ、その方」

「それで、いきなりなんだけど、家で住んでもらうことにしたんだ」

「アラ、そうなの」普通だったら困惑してしまう話なのに、ミントというグラマラスな奥さんは少しの動揺もみせず、「じゃ、これから家族の一員ですね。で、お名前は?」とアルパカ星人に訊きました。

「な、名前…」その質問に、アルパカ星人はかなりドギマギし、「ええと、何でしたっけ?」

これには、ミントはこけ、「すみません、のんきな主人で。アルパカ星人って皆のんびりしているんですけど、ウチの主人はとくにのんびり屋なんですよ」と青年に頭を下げた。

「あっ、いえ、お互い様ですから」

「えっ?」

「ボクも彼の名前きいていないんです」

「アラ、まぁ」ミントは苦笑いし、「じゃ、アナタから自己紹介しなくっちゃ」と夫をせかしました。

すると、アルパカ星人はフラダンスのような振りをして、「そよ風です。」

その冗談交じりの自己紹介をみて、青年の対抗意識に火がつきました。

「じゃ、今度はボクの番」

青年は合コンでウケる鉄板の自己紹介を披露してやろうと、ランニングシャツを脱ぎ、髪の毛をツンと掻きあげました。
それから、アタタタタッ、と正拳突きを素早く繰り返しながら奇声をあげ、

「健康だけが取り柄の、ケンシロウです!」

第十八話+のコピー_convert_20130714055305


と自己紹介し、胸部から腹部にかけてある自慢の北斗七星型のホクロを強調してみせました。

しかし結果は、大スベリ。
観客のアルパカ星人は皆、ギャグの意味がわからなかったようで、ただポカ~ンとした顔で青年を見つめています。

アレ? 世代が違ったか? ていうか、アルパカ星じゃ「北斗の拳」やっているわけないじゃん。
ウケなかった理由がわかったものの、スベった後のフォローの仕方がわからず、青年は固まったまま照れ笑いを浮かべるしかありませんでした。

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★あらすじ★

第十七話 偶然の違い

★初めての方はこちらから★

「そうです。ボクもアナタもハエもみな生きとし生けるもの同じ旅人なのです」

アルパカ星人は、まるで牧師が信徒のまえで講話をするように胸に手をあて、ゆっくりとした口調で問答を始めました。

「アナタはこの星に住みたくない理由を、自分がよそ者だからと言っていましたね」

「ああ」

「それは言い換えれば、アナタはこの星を僕達アルパカ星人のものだと思っているということですか?」

「まあ、そうだな」青年は早くも面倒くさくなってきて、聞えよがしのため息をつきながら答えました。

「でも、僕達はこの星を自分たちの所有物だなんて思っていません」

「はぁ?」

「アナタは自分のお父さんやお母さんを自分の所有物だと思っていますか?」

「そんなわけ、ねーだろ!」なめてんのか!と青年はムカつき始めました。血のつながった肉親でも身体はそれぞれの所有物であることぐらい小学生でも理解できると思ったからです。

「ですよね」アルパカ星人は青年の反応を楽しんでいるかのように余裕の笑みをうかべて言いました。「だったら、アルパカ星だって、地球だってそれと同じじゃないですか。両親が偶然出会って、偶然僕達が生まれたように、僕達アルパカ星人がこの星に生命を宿せたのも、いくつかの奇跡的な偶然が重なっただけのこと、そう思いませんか?」

確かにそれはそうかもしれないと青年は思いました。
考えてみれば、この星は人間が生きていくのに非常に適合しているようだ。息苦しさは感じないし、気候も穏やかで快適だ。地球と比べてみて劣るどころか、むしろこっちのほうが住みやすいと思えるほどだ。
ということは、人間がこの星に誕生していたっておかしくない。アルパカ星人の言うとおり、生命を宿せたか宿せなかったかの差は、まさに「偶然」だけなのだ…。

「でしょ」反論ができない青年に優しい眼差しをそそぎながらアルパカ星人は持論を重ねました。「だからアルパカ星人であろうが地球人であろうが、この星は誰の所有物でもないのです。みんなたまたまこの星に立ち寄っただけの、旅人のようなものなんですよ」

青年は、そのようなことを一度も考えたことはありませんでした。ただ脳天気な異星人だと思っていたアルパカ星人に新たな世界観を教えられ、青年は少し気持ちが楽になりました。

「その調子です。気楽に考えれば、景色は違って見えるようになりますよ」アルパカ星人は笑顔で諭しました。「旅行でどこかの国に立ち寄ったときにそれを不幸だなんて思うのがおかしいように、この星に立ち寄ったことを不幸だと決めつける必要はないのです。そんなふうに考えて暮らしていたら、ほんとうに不幸になってしまいますよ」

「そうか。そうだよな」青年は、自分が勝手に不幸だと思いこんで悲劇のヒロインを気取っていたことに気づくほど客観性をもてるようになりました。また、そう思うと、青年は自分のこれまでの取り乱し様がなんだか恥ずかしくなってきました。

と、そのときでした。

「パパ、なにしているの?」

突然、可愛らしい男の子の声がしたのです。

驚いて声がした方向に顔を向けると、小さなアルパカ星人がこちらを不思議そうに見つめていました。

第十七話+のコピー_convert_20130713063456

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★あらすじ★

死のスライドショー

オリジナルホラー小説トーナメント・ランキング3位作品

記録的な猛暑が続いていますね。今日も寝苦しい夜になりそうです。
そこで、皆さんに涼んでもらおうと思い、コワイ話を書いてみました。
心臓の弱い方は、病院に行ってください。


あまりの寝苦しさにボクは目を覚ました。部屋の中は熱気がこもっていて蒸し風呂のようだ。額には、玉のような汗が浮かんでいる。ベッドから半身を起こすと、Tシャツが汗で背中にはりついて気持ちが悪い。

枕元の時計を確認すると、1時48分だった。エアコンのタイマーを2時間後に切れるようにセットしておいたので、冷房が切れたのは20分ほど前ということになる。

再びタイマーをセットしようかと思ったが、それはちょっと贅沢だし、身体にも良くないと思い、部屋の窓を開け、自然の冷気で熱気を入れ替えることにした。

やってみると、意外に涼しい風が入ってきて快適だ。これならはじめから窓を開けて寝れば良かったと思った。

睡眠の邪魔になるクルマやバイクの音が入ってくるので、あまり窓を開けて眠るのを好まないが、今日は不思議と静かで、家の前を流れる下水の音も川のせせらぎのようで快眠のいいBGMになってくれそうだ。

ボクは小用を済ましたあと、スポーツドリンクで喉を潤し、それからベッドに戻り熟睡にはいる態勢をとった。

目を閉じると、ちょっと寒いぐらいに手足が冷えてきた。
しかし、どうしたわけか、顔だけが直接温風を当てられたように異様に暑い。

しばらくすれば、それもおさまってくるかと我慢したが、ますます暑くなってきた。

ボクは耐えきれず起きあがると、額の汗を拭った。

時計を見ると、もう2時を回っていた。明日は結構仕事が忙しく、身体を休めないとこたえそうだ。そう考えると、もういけない。いつもの眠れなくなるパターンだ。

こんなときは無理に寝ようとしないほうが、かえって効果的だと経験から知っている。

ボクは気を紛らわすためにネットでも見ようと、枕元においてあるタブレット端末を手にとった。これはちょうど一年前、彼女がボクの誕生日にプレゼントしてくれたものだ。

「そうか、ボクも今日から24になるのか。仕事のほうも一人前になってきたし、そろそろ彼女にプロポーズして、独身生活を卒業してもいい頃だな」

そんな夢を描きながら、グーグルクロームのアイコンをタップすると、いきなりネズミの赤ん坊のような映像が映し出された。よく見ると、それは人間の胎児だった。

「なんじゃこれ、キモいなぁ」

ボクはそのサイトを閉じようとしたが、いくらやっても操作が通じない。

「なんだ、固まっちまったか」

もうこうなったら強制終了しかないと電源ボタンを押したが、これも反応しなかった。

これじゃ気分を入れかえるどころじゃない。

ならば、無線LANの電源を切ってしまえと起き上がろうとしたとき、その気味の悪い映像が急に消え、画面が真っ暗になった。

「しまった、乱暴に扱ったせいで壊れたか」

今度は電源ボタンを入れてみた。

すると、画面にもっと成長した赤ん坊の顔が浮かびあがった。

どこかで見た顔だなあと思ってピンチアウトして画像を拡大すると、それはなんとボクの赤ん坊のときの顔写真だった。画像の下には「0」という数字がある。おそらく年齢を表示しているのだろう。

「なんで、こんなものがネットに流れているんだ」

ボクは薄気味悪くなり、サイト元を探ろうとしたその瞬間、勝手にスライドショーが始まり、シャカシャカと、1年ごとボクが成長していく写真が展開されはじめた。

止めようもなくスライドされる写真はだんだん今のボクの年齢に近づき、ついに24の年齢になったとき、血だらけで白目をむいているボクの顔が映しだされて、そこで電源が落ちた。

スライドショー+のコピー_convert_20130712203054


「おい、ヘンなイタズラはやめてくれ」

ボクはタブレット端末を投げ出すと、あまりの恐怖に頭をかきむしり叫び声をあげた。

そこで目が覚めた。

驚いたことに、顔の上にタブレット端末を置いたままボクは寝ていた。電源が入ったままでなので、機体は熱をもっている。

「これじゃ、顔だけ熱いわけだ」

ボクは悪夢でよかったと安堵しながら暗い部屋を見回した。

閉めてあるはずの窓が開いていた。

アレ? じゃあれからネットを見ながら寝てしまったということか。

今度は枕元の時計を確認してみる。

時計は2時30分を指していた。

いくらもねていないじゃないか。

ボクは恐る恐るタブレット端末の電源を入れてみた。

画面は正常な状態だった。

「そうだよな。そんなことあるわけないよな」

ボクはすべてが正常な状態に戻ったような気になり、気軽に履歴を開いてみた。

すると、24回アクセスされたボクの名前の履歴記録があり、最後にここから最も近い葬儀社をアクセスした履歴が残っていた。

「うそだ!」

ボクは怖くなってタブレット端末から手を放した。タブレット端末はベッドの上でバウンドすると、反転した。

「なんじゃ、こりゃ」

不気味なことに、そのシルバーの背面には血だらけの指で触ったような痕があった。


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プロフィール

マウントエレファント

Author:マウントエレファント
アルパカとバラとスプリング、つまり春(おまえはルー大柴か)を愛するナイスミドル?なサラリーマンです。でも同僚には、そんな趣味、ばらしません。キモイっていわれますから。残念!(古っ!)

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