金縛りの正体

みなさん、「金縛り」になったことありますか?

ボクは、年に何度かあります。
これにかかると、昔は怖くて念仏を唱えたりしましたが、大人になった今は、これは体は睡眠状態に入っていても、頭は覚醒状態のときに起こるものだと解釈していますので、昔ほど怖くはありません。

金縛りは、大抵、夜更かしをしたときにかかりやすく、不思議と怖いことを考え、これはくるなと予感すると、その通りになることが多いです。

ちょうど、「ためしてガッテン」で金縛りをテーマにやっていましたので、それを観ましたら、やはり脳は起きていても体が寝ているときに、金縛りは起こるそうです。
要するに、金縛りとは「脳だけ寝そこねた状態」のことなんですね。

これを防ぐには、「不規則な睡眠時間」「長すぎる昼寝」「仰向け寝」をしないのがいいそうです。

金縛りになると怖い幻覚をみるのも、その状態の時に扁桃体が活発になるので、怖い夢をみて、それを現実だと思い込んでしまうからだそうです。

しかし、「オレキシン」という神経伝達物質が不足して起こる金縛りもあるそうです。
これはナルコレプシーという病気なので、治療が必要だとのこと。
日中眠気が強い人は、医師に相談した方がいいかもしれません。

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チャームポイント

わたしのチャームポイントは、小顔に目立つ、くっきりとした二重まぶたの大きな目に長いまつげ。
この瞳にみつめられれば、大抵の男はあっという間に目をハートにしてしまう。

この手で、わたしは多くの男を虜にして、多額のお金を貢がせてきた。

いまは、3人の男を手玉に取っている。
その中に本命などいないが、馬鹿な男どもはみな自分が本命だと思い込んでいる。

そしていずれも、わたしとの結婚を夢見て、汗水たらして、わたしに貢ぐ金を稼いでくれている。
お陰で、わたしは働く必要がない。

彼らが働いている間に、エステにいったり、ジムにいったり、グルメを堪能したり、人生を謳歌している。

ジムで知り合った男も、わたしに夢中になり始めた。
彼はジムのオーナーで、いまつきあっている男らのなかで、いちばん裕福だ。

わたしは彼も鴨に加えることに決めた。

しかし、彼はその野獣のような肉体と同様に、激しくわたしに結婚を迫ってきた。
面倒くさいので、口約束をしてつきあっていたら、ほかの彼氏と鉢合わせをした。

その男にも、結婚の口約束をしていたので、わたしをめぐって大もめになり、ついにわたしは結婚詐欺師として訴えられてしまった。

悪事はつづかないものである。

かくして翌日の新聞にのったわたしの顔写真は、チャームポイントの目が消されたものになっていた。

警戒心の強いお父様

わたしのお父様はとても警戒心が強い。

近所に困った人が多いので、いつもその対応に頭を悩ませているし、最近、彼らとの心の壁をあらわすように家の周りに高い塀をつくった。

その警戒心は日に日に増幅し、窓に柵をはったり、家族の者も近づけないような番犬を飼ったり、SECOMと契約を結んだりしはじめた。

多額のローンを抱えているにもかかわらず、そんなことをするものだから、家計は火の車だ。

散財のしわ寄せは、家族にきた。
食費は削られるし、お小遣いもなくなった。

お小遣いをせがむと、自分で稼げと言われ、学業の合間にバイトをさせられる始末。
バイト料もすべて自分のものなるのではなく、お父様は養ってもらえている感謝料を納めろと強要してくる。

わたしには、同じく学生の兄弟が三人いるが、感謝料率は学業の成績によると勝手に決められてしまった。
つまり、三人のなかでいちばん成績がいい者がいちばん感謝料率が低くなり、いちばんわるい者がその逆になるという仕組みだ。

お父様の言い分では、そうすることで競争心がうまれ、それにより兄弟全員の学力向上の底上げがはかられ、それが将来的にはお前らのためになり、大局的には我が家の繁栄につながるのだと力説する。

そういう道理もあるかもしれないが、わたしたち兄弟はバイトに勉強にと寝る暇が削られストレスがたまり、また激しい成績闘争から兄弟喧嘩が増え始めた。

お母様も、ヘルパー代をけちるお父様のせいで、パートの合間に行うお婆さま、お爺さまの介護で、わたしたち以上に寝る暇がない。

こんな状態であるのに、お父様は自分の仕事が忙しいと、責任をすべてお母様に押しつける。

そういう無責任な姿勢に対し、わたしたちが不平をぶつけると、お父様はお母様に「お前の教育が悪い」と叱り、わたしたちには「お前らも、もっと家族愛をもて」と説教する。

わたしたちは段々ばからしくなり、勉強をする気も失せ、バイトも手軽に稼げる不純なものに手を染めるようになった。
母親も過労で倒れ、パートをやめてしまい、家計はますます苦しくなった。

介護放棄でお爺さまやお婆さまの状態も悪くなるし、夫婦喧嘩や、わたしら子供の非行で家庭は荒れた。

お父様は、それを暴力で封じ込めようとした。

しかしそうすればそうするほど、家庭不和が強まり、怪我による治療費や、壊れた家財の修復費用が増え、家庭は破綻の道に突き進んでいった。

そんな我が家は、逆に近所でいちばん問題視され、その対立からお父様の防衛にかける費用がますます膨らむという悪循環から抜けだせなくなっている。

ああ、誰かお父様の暴走をとめてください。

捨てなさいよ

失恋した後輩を慰めるために、ワタシは彼女を部屋に招いた。

ワタシはコーヒーとお菓子をテーブルに置きながら言う。
「彼氏とは、3年もつきあったんだものね。そりゃぁ辛いわよね」

彼女はテーブルに涙をポタポタと落として答える。
「彼とは結婚を前提につきあっていたの。先輩、ワタシもう死にたい」

ワタシは、慟哭で荒れる彼女の背中を優しくさすりながら言う。
「そんなこと言わないで。時間が癒してくれるし、そのうちもっといい人が現れるかもしれないじゃないの」

しかし彼女の感情はますます高ぶり、背中は大波のように揺れる。
「ワタシすべて忘れてしまいたい。彼との思い出を」

ワタシは自分の失恋回復術を彼女にアドバイスする。
「それならもう捨ててしまいなさい。彼からもらったすべてのものを」

すると、彼女はネックレスに触れ、「じゃ、これ先輩にあげる。彼からもらったものだから」と鼻水をすすりながら答えた。

「それはよくないわ」ワタシはネックレスを外そうとする彼女を止める。「だって、ワタシがそれをつけていたら、あなた、彼のことを思い出しちゃうじゃないの。それよりも、どこかに売った方が、いいわよ」

「そうか…」

「そうよ」と明るく言って、ワタシはネックレスから離した彼女の手にお菓子を渡す。「ま、これでも食べて。元気だしなさいよ。あなた、ずいぶんやつれちゃってるし、何か食べないと参っちゃうわよ」

「ありがとう、先輩」彼女は手にしたお菓子の袋をいじりながら言う。「でも、先輩。これ賞味期限切れている。これ、捨てちゃったほうがいいと思います」

先生じゃいけない?

昼飯を食べに仲の良い同僚と行ったら、向こうから嫌なヤツが来るのが見えた。

こいつは超がつくほど自己中心的で、会社でも有名な嫌われ者だ。
仕事だから話さなければならないときはあるが、用がなければ挨拶もしたくない。

ヤツとすれ違うとき、オレはいつものようにそっぽを向いてやり過ごそうとしたが、同僚がヤツに明るく声をかけた。
「やっ、これは先生。今日も忙しそうですね」

これに対し、ヤツは無愛想な表情で、同僚をジロリと見て答えた。
「お前らは、暇そうでいいな」

お前らとは、オレも含んでいるのか!
オレはカチンときてヤツを睨んだが、同僚はパチンと自分のおでこをはたいて、愛嬌たっぷりに言った。
「あっ、そう見えます? これは、参った参った」

しかしこれにもヤツは仏頂面で、「ふん」と言うと、オレたちと反対方向に去っていった。

オレはヤツの姿が見えなくなったのを確認して、同僚に文句を言った。
「何だよ。あんなヤツにごますりしやがって」

オレの険しい表情に、同僚は笑顔で答える。
「別にごますりなんてしていないさ」

「じゃ、なんでヤツに先生だなんて言うんだよ」

オレはさらに激しい怒りをぶつけたが、同僚は何で怒られているのか分からないといった表情で訊く。

「先生だと思っているから、そう言ったんだけど、おかしい?」

「おかしいに決まっているだろ!」

「そうかなぁ」同僚は納得できないといった表情で、首を傾げる。「ボクは彼のことを反面教師だと思っているから、先生って言ったんだけど、それって不適切?」

変わってないよ

三十年ぶりに高校の同窓会にでることにした。
それまで断っていたのは、若ハゲをみんなの前でさらす勇気がなかったからだ。

しかし、50を過ぎれば、ハゲも珍しくないだろう。
そう思って、出席の返信をしたのだ。

同窓会は、故郷のホテルで開かれた。
集まったのは、20人ほど。

もはや昔の面影もなく、老けて体型がくずれた者もいれば、すぐに誰だと思い出せる者もいる。
オレはというと、むろん前者のほうだろう。
体型はそれほどかわらないが、この頭だ。
「オマエ、ずいぶん老けたな」と笑われるに違いない。

そんな恐怖にかられながら、輪の中に入って行くと、すぐにみんなオレに気がつき、「よう、久しぶりじゃないか。それにしても、オマエ変わってないなぁ」と、予想に反したことを言われた。

オレは戸惑いながら禿頭を撫でまわし、「でも、こんなんなっちゃたよ。オレもジジイさ」と自虐すると、その内の一人がこう言って笑った。
「何言っているんだ。オマエ、高校時代も野球部で坊主頭だったじゃないか」

かかし作戦

久しぶりに実家に帰ったら、オヤジが頭を抱えていた。

何を悩んでいるのか尋ねてみると、畑の作物を盗む不届き者が増えて困っているという。
24時間態勢で見張っているわけにはいかないし、何か良い策はないかと僕にすがってきた。

僕はしばらく考えた後、「かかし作戦でいくか」と答えた。

するとオヤジは拍子抜けしたような表情を浮かべて言った。
「そんなのとっくにやっているべ。なんだ、東京の大企業で優秀な技術者として働いているオマエの策はその程度か」

僕は落胆しているオヤジの肩をたたき、「まぁ、任せておきなよ。オヤジはオレの指定した場所に落とし穴を掘ってもらうだけでいいから」と言って、以下の様な図を描いてみせた。

カカシ作戦+のコピー_convert_20140427055012

オヤジは老眼鏡をかけてその図を見ると、「なんだ、このあぜ道の先に落とし穴を掘れってか」と言って、訳がわからんといった感じで首を傾げた。

「そう。昼間は危険だから穴を板で塞いどいて、誰もこのあぜ道を通らない夜は落とし穴として機能するように細工をしておけばいいんだ」

「かかし作戦」の準備には丸一日かかった。
そして、その作戦の手の内をオヤジに説明すると、僕は東京に帰った。

数日後、オヤジから歓喜の電話があった。
「かかし作戦」のお陰で、畑泥棒が捕まったというのだ。

オヤジは思い出し笑いをしながら言った。
「しかし、オマエのつくったかかしは、てえしたもんだ。あん中に人を感知するセンサーをしかけといて、畑の中に泥棒がはいったら、家の角っこにつけたパトライトとサイレンが連動して作動するようにしとくなんて、オラみてえな百姓の頭では思いつきもしなかった。お陰で、パトカーが来たかと畑泥棒め驚いて、大慌てでパトカーが入れないあぜ道を逃げて、まんまと落とし穴に落ちただよ」

「それは良かった」と僕が答えると、オヤジは「後で、その泥棒が放り出していった野菜をオマエのところに送っとくべ」と言った。


おネエポストマン

ウォーキングに行って参りました。
藤の花も咲き始め、春って改めていいなと思いました。

しかし、日差しは暑い。
まるで初夏のような陽気で、肩にあたる日差しは衝撃的な暑さでした。

そしてまた、衝撃的なニュース。
中川翔子さんの熱愛報道を朝のネットニュースで知り、いつもウォーキングをしながら愛聴しているNHK-FMの「アニソン・アカデミー」(中川翔子さんが生徒会長を務めています)を複雑な想いで聴いていました。

それにも増して衝撃的なことが、ウォーキングの最中にありました。

あるアパートの前を通りかかった時、そこからくねくねと腰をひねらせる内股歩きの郵便配達員が飛び出してきたのです。

外見は普通の中年の男性でしたが、その歩き方、どうみても「おネエ」。
彼?は、びっくりしているボクを一瞥すると、バイクにまたがり、逃げるように去って行きました。

が、彼?は、その先の公衆便所に飛び込むと、1分ぐらいして出てきました。
出てきた時の歩き方は、普通の男性らしい歩き方。

ただ、トイレを我慢して内股になっていただけだったんですね。
それにしても、余程、猛烈な尿意に襲われていたんだろうなぁ。

長寿の秘訣

草むしりをしていると、隣の男が小声で話しかけてきた。
「初夏のような陽気のなか、草むしりも疲れるでしょう?」

「いいや」
ワシは、草むしりの手を止めずに答える。

「私はダメです。こういう仕事慣れていないんで」
男は汗を拭きながら、弱音を吐く。

「まだ若いのに、だらしがない」
ワシは男を一瞥する。見たとこ、まだ50代前半くらいだろう。

「面目ありません」男は泥のついた手で頭を掻く。「ご高齢のアナタが頑張っていらっしゃるのに、つまらないことを言ってしまいました」

「そうじゃよ。85のワシが頑張っているんじゃ。アンタもこのくらい耐えなきゃ」ワシが喝を入れると、男は驚きの声をあげた。「えっ。そんなにご高齢だったんですか。私は60代くらいかなと思っていました」

自分で言うのもなんだが、ワシは見た目は若い。いや見た目だけではなく、足腰も丈夫だし、風邪ひとつひかない。

「こう見えても私、医者をやっていたんですよ」男は得意気に言って、ワシを診察するような目で見る。「アナタは、長生きしそうだ」

「そうかね」と言って、ワシは男にドロのついた手のひらをみせる。「生命線も長いしな」

「ホントだ。長寿の秘訣はなんですか?」

「適度な労働と、規則正しい生活。あと、贅沢なものを食べないのと、酒タバコをやらないこと」

「ああ、そういった生活を送っているんですものね」男はため息をつく。「それなら、100歳までいけるんじゃないですか」

「かもしれん」と答え、ワシもため息をつく。「でも、有難くないね。懲役15年の身で、そんなに長生きしても」

ダルビッシュのパソコン

「ダルビッシュお前パソコン買ったんだって?」

「ああ」

「でも、お前パソコンできねえだろ」

「ああ」

「じゃ、これから覚えるんだ?」

「いいや」

「じゃ、何で買ったんだよ」

「なんか、パソコンやっているやつ頭良さそうじゃん」

「それだけの理由で買ったの?」

「まあね。こないだスタバでパソコン打っているヤツ見てさぁ、なんか格好良く思っちゃったわけよ」

「馬鹿だねぇ。で、どんなパソコン買ったんだ?」

「MacBook Air」

博士の願い

前回の話

タイムマシンの開発に生涯を捧げている博士が肺炎で入院した。
88歳という高齢だし、日に日に弱っていく状態をみると、体力が持つか心配だ。
医師も、あまりいいことを言わない。

そこで我々博士のもとで働く研究員たちは話し合って、誕生会で博士が語った願いを叶えてやることにした。
その願いとは、私たちの研究所で働く未来の研究員がタイムマシンの開発に成功したら、タイムマシンで博士のもとに訪れてほしいというものだった。

一芝居を打つにあたって、まず難航したのは、誰が未来からきた研究員の役をやるかだった。
もちろん、我々は顔が知られているから、誰もその役はできない。

顔が知られていなくて演技がうまい人物を探すのは容易なことではなく、みんなでウンウン唸っていると、いちばん若い研究員がオズオズと手をあげた。
彼の話によると、彼の兄が俳優を目指しており、もしかしたらその役を引き受けてくれるかもしれないというのだ。

それは有り難いと我々は、彼の兄に協力を求めた。
我々の必死の懇願と安くはない報酬で、彼は承諾してくれた。

一日かけてリハーサルを行ったあと、ついに作戦の実行に移った。

病室には、彼ひとりで行ってもらうことにした。

タイミングは博士が寝ている時をねらった。
そこにスッと枕元に忍び寄り、博士を起こすのだ。
その意図は、博士が夢うつつの状態のときに、芝居をしたほうが騙しやすいと考えたからだ。

我々は病室の外でハラハラしながら、芝居が成功するのを待った。

すると、一分もしないうちに彼が病室から弱った表情ででてきた。
どうしたのかと尋ねると、博士にどうやってタイムマシンの開発に成功できたのか訊かれたのだと言う。

それには、その分野にド素人の彼でなくても、我々も弱った。
なにしろ、タイムマシン開発成功の糸口すらみえていないのだ。

そこで苦肉の策で、それを明かしたら歴史が狂ってしまうから、極秘にしなければならないと話してもらうことにした。

しかし、彼はまた一分も経たないうちに、病室からでてきた。
今度は何かと尋ねたら、未来の世界がどうなっているのかと訊かれたのだと言う。

その難問にも議論を重ねて、タイムマシン使用のルールを破って博士の願いを叶えるためにきたのだから、このことは極秘にしてもらいたいし、それ以上のことは語れないと言ってもらうことにした。

ところが、彼はまたすぐに疲労困憊した様子で病室からでてきた。
訊くと、せめてタイムマシンの写真を見せてほしいと懇願されたというのだ。

それも極秘事項で許されないから断れと言って彼を病室に戻すと、病室から博士の激怒した声が聞こえてきた。
「さっきから何じゃ、タイムばかりとって。お前らのつくったタイムマシンとは、そういう意味でのタイムマシンか!」

「二話以上で綴った小説」トーナメント3位作品

成功者の受けとめ方

先の投稿で、消費増税のウップンを小銭だけの支払いではらそうとした老婆の記事を書きましたが、実際にはそんな極端な人はいなくても、小銭の支払いでもたついている人をよくみかけます(っていうか、自分もそういうことがあり、後ろに並ぶ人に迷惑かけたくなくて、紙幣で精算してもらうことが多いんですけど…)。

とくに指先の機能のよわった高齢者にそういうケースが多く、レジ待ち渋滞の発生源になっていたりします。

そんなとき、大抵の人はイライラすると思いますが、そう受け止めないことで素晴らしい商品を開発した人がいることを最近知りました。

その商品は、NHKの朝のニュース番組「おはよう日本」内のコーナー「まちかど情報室」で紹介されたもので、硬化ごと仕切りポケットのついた財布です。

これなら素早く目当ての硬化を取り出せることができ、スムーズな支払いが可能になります。

この方に見習い、何事も受けとめ方一つで素晴らしい発明につながる場合もあるのだと思えば、イライラも減るのではないでしょうか。

ケチな抵抗

「あら、奥さん」
スーパーで買い物をしていると、後ろから肩をたたかれた。

振り返ると、近所のヨネさんだった。

「こんにちわ。お買いもの?」
スーパーにいるとなれば買い物以外の目的はないのだが、唐突に声をかけられたので返事に迷い、こんなお馬鹿なことを訊いてしまった。これも頭の回転の弱った年寄りの悲しさか。

でも、ヨネさんは調子を合わせてくれ、「それにしても困っちゃうわね、消費増税には」と苦い顔をした。

「まったく。お互い年金暮らしですものね。どうやってやりくりするか、頭が痛いわ」

私がそう答えると、ヨネさんは安物ばかりを選んでいれた私の買い物籠に目をやって同意した。

「私も一円でも安いものばかりを探しているから、買い物に時間がかかって仕方がないわ」

ケチで有名なヨネさんの買い物籠をのぞくと、余計なものは買わない徹底ぶりで、私よりさらに財布のひもを締めているようだった。

「でも、まだ増税する気でいるんでしょ、政治家の人たち」と言って、私はため息をついた。

「私らの血税が何につかわれるやら。最近の不穏な政治をみていると、戦争経験者の私はぞっとするよ」
ヨネさんはそう毒を吐くと、肩をすくめた。

同じく戦時下の苦しさを味わった私は深く頷き、国の行く末を憂いて言った。「私らにできる抵抗はないのかしら?」

「抵抗というと?」とヨネさんは訊く。

「例えば、デモとか」

「ばあさん二人でデモをして、国が動くかね」

「無理よねぇ」私は国会議事堂の前で、ヨネさんと二人でデモをしている絵を想像して虚しくなった。「結局、できるだけ消費税を払わなくて済むような抵抗しかないわね」

「私はそれじゃ気が収まらないね」とヨネさんは言うと、レジに向かった。

私もその後に並ぼうとすると、ヨネさんは先に会計を済ませるように私に順番を譲った。

「スミマセンね」と礼を言って、ヨネさんが会計を済ますのを待った。

すると、ヨネさんはとんでもないことをし始めた。
バックから小銭のつまったビニール袋をとりだすと、それを店員に渡し、「これでお願い」と平然と言ってのけたのだ。

偶然にも、ヨネさんの後ろには、地元選出の国会議員の妻がいた。
この嫌がらせは、デモよりも効果があるようだった。

朝礼は明るく

大抵の会社であるでしょうが、ウチの会社でも課ごと集まって朝礼というものがあります。
朝礼では、課長からの連絡事項がメインとなっておりますが、その前に順番で一人一言、何か話題を探して言う決まりがあります。

で、それを聞いていると、同じような事を言う人がとても多いのです。
つまりそれは、気候の話から入り、体調管理には充分注意したいと思います、みたいな話題です。

当たり障りがない話題となるとそのようなものになってしまうのはよく分かりますが、もうちょっと話題探しに手間をかけてもいいんじゃないかと思うのであります。

でも、今日の朝礼はちょっと違いました。

今日の朝礼には、研修にきた新入社員が参加し、課長は新人君たちに自己紹介をさせました。
すると、それに続いて、同僚の一人が自己紹介をはじめたのです。

それには、みんな爆笑。
朝から朗らかな気分になりました。

彼は話題豊富で朝礼の一言でいつも笑わせてくれます。
そういうムードメーカーがいてくれることは、本当にありがたいことです。

ご褒美のチョコ

疲れたときに、食べたくなるのはチョコ。
特にボクは、ミルクチョコが好きだ。

3時の休憩の時に、同僚にチョコのお裾分けをもらった。
これは有り難いと、食べようとしたときに、携帯電話が鳴った。

着信番号をみると、部長からだった。
また面倒な話かとビビりながらでると、急な用事を言いつけられ、すぐに来てくれとのこと。

かなり焦っている様子だったので、仕方なくチョコをポケットに入れ、現場に向かった。

用事の内容は、故障した機械の修理の手伝いだった。
早く修理して生産を再開させないと、今日の出荷に間に合わないので、その機械に詳しいボクが呼ばれたというわけだ。

1時間半程度で復旧できたものの、修理は大変だった。
力仕事だし、急かされるし、初夏のような陽気なので、汗びっしょりになった。

ホッと一息ついた頃、チョコのことを思い出した。
ちょっと遅くなったが、おやつ代わりにチョコを食べようかと、ズボンのポケットに手を入れたとき、イヤな感触が指先にふれた。

初夏の陽気と体温で、チョコが溶け、ポケットの中はグジャグジャだったのだ。
とんだご褒美だった。

イタリア人のオヤジギャグ

最近知り合ったイタリア生まれの若者はとても陽気なヤツだ。

酒と女が大好きで、しょっちゅう羽目を外す。

それが行きすぎて、時に注意されることもある。

そういうとき、彼は舌をぺろりと出して、お決まりのオヤジギャグを言う。

「どうもスミマセン。若気のイタリーで」

どこで覚えたのか。憎めないヤツだ。

衝撃の二重

「淡谷さん。無事、手術に成功しましたよ」
麻酔から覚めた私の耳に、医師の声がきこえた。

「ありがとうございます」と言って、私は手術したばかりの目をゆっくりあける。
目の前には、笑顔で私をみつめる医師の顔があった。

「きれいな二重になっていますよ」と医師は言う。

「本当ですか。うれしい!」
私は手を合わせて喜ぶ。

これで細い目で悩まされてきた日々から解放されるのだ。
これからはバンバン合コンに参加して、イケメンの彼氏をゲットしてやるんだ。

「鏡見ますか?」
医師はテーブルに置かれた鏡を指さす。

「はい。お願いします!」
私は早く生まれ変わった自分を見たくて、即答する。

「わかりました」医師は鏡を手に取ると、私にその鏡をむける。「ね、きれいな二重になっているでしょ?」

「えっ…」
私はあまりの衝撃に、言葉を失った。

確かに二重になってはいたが、それは目の上ではなく下だったからだ。

美しき公園のゴミ

引っ越してきた街に住んで一週間。
はじめての休日を得たので、近所を散策してみることにした。

快晴の午前10時。
春のあたたかな日差しが心地よい。

新興住宅地のこぎれいな庭に咲くカラフルな花を楽しみながら歩いていると、桜の花が咲き誇る美しい公園に行きあたった。

ここで一休みしようと思い、ベンチに腰掛けると、きれいに手入れされた公園の片隅に、ゴミが散らかっているのが見えた。

どうせ、不良どもが夜中にこの公園にたむろし、飲食をして捨てたものだろうと思いながら、几帳面な性格のボクはそれをかたづけようとそこに近づく。

しかしそこに散らばっていたゴミは、ちょっと意外なものだった。

野菜ジュースや聖書に仏像、ミッキーマウスのぬいぐるみなど、どれも悪ガキどもとは縁のなさそうなものばかりだったのだ。

それでは誰がいったいこんなものを捨てたのかと首を傾げながら、野菜ジュースの缶を拾い上げようとすると、それは地面に固定されていてビクともしない。

他のものも同様で、地面にはりついていた。

わけがわからず腕を組んでうなっていると、後ろから声をかけられた。
「どうしたのですか?」

見ると、そこにいたのは白髪頭の初老の男性だった。

ボクは会釈をして、「いえ、このゴミ。かたづけようと思ったら、地面にはりついていて動かなかったもんで」と答えた。

すると、彼は納得したように表情をゆるめて言った。
「ああ、これは教育アートなんですよ」

「教育アート?」

「そうです」彼は深く頷いて、こう説明した。「子どもたちにゴミのポイ捨てはいけないことだと教育するために、どんなに健康的で尊くかわいいものでも、ポイ捨てをすれば、公共の美を損ねてしまうものになるのだと、目でみせてわからせようと考案してつくったアート作品なんです」

月の恋

ボクはある女性に恋をした。
彼女もボクに好意を寄せてくれて、何度かデートをして、二人の関係はだんだん近づいていった。

しかし、強敵が現れた。
そいつは、太陽のように明るく、エネルギッシュなタイプの男だ。

それに比べれば、ボクは月だ。
そんなに明るくないし、のんびり過ごすことを好む。

男性的な魅力とすれば、ボクはヤツに落ちる。
ボクはそう思い込んで、彼女を奪われる恐怖感にかられた。

彼女へのヤツのアプローチは強烈で、ついに彼女はデートの誘いに乗ったようだ。

でも、ボクは何もできなかった。
彼女への想いだけは、ヤツに負けていない自信はあったが、どうやっても勝ち目はないという劣等感が、ボクの勇気を妨げた。

ボクは不安な暗闇のなかで、彼女を待つしかなかった。

そんな苦しみを一ヶ月くらい味わった後だった。
なんと、彼女がボクのもとに帰ってきたのだ。

正直、こんなうれしい未来が待っていたなんて、ボクは思ってもみなかった。
どうして月のような光しか放てないボクが、太陽のようなパワフルなヤツに勝てたのか…。

その理由を聞けないまま、夜のデートを楽しんでいると、彼女は月をながめながら言った。
「月っていいよね。こんな真っ暗な夜空でも、月がでているだけで不安が和らぐんだもの。それってすごいパワーだと思うわ」

ボクは自分が褒められているようでうれしかったけれど、やはり太陽のようなヤツには敵わないという思いから、こんな言葉が口からでた。
「でも、太陽のパワーには負けるよね」

「それはそうだけど…」彼女は月からボクに視線を移すと、大きな瞳でボクの顔をじっと見た。「でも、太陽ってまぶしすぎて、こうやってじっと見続けられないよ」

先駆者の苦悩

オレはバーテンダーをやっている。

一人でやっている狭い店だ。
路地のわかりにくい場所にあるから、あまり客が入らない。
ま、原因はそれだけにあるのではないだろうが…。

今日は月曜日。とくに客の少ない曜日だ。
9時になるというのに、客は来ない。
オレはすることもなく、グラスを磨き続ける。

と、そんなとき、店のドアが開いた。

見ると、30代ぐらいのサラリーマンだ。
なかなかのイケメンだが、顔色が悪い。
「いらっしゃいませ」と声をかけたが、「どうも」と俯きがちに弱々しい返事をして、彼はため息をつきながらスツールに腰掛けた。

不景気な店が余計に陰気になってしまうと思いながら注文を訊くと、彼はビールを頼んだ。
ビールの飲み方も覇気がない。まるで熱燗をなめるような飲み方だ。
これでは、これを飲み干すのに1時間もかかってしまいそうだ。こんな調子でやられたら、まるで商売にならない。

無言の時間にも耐えられないので、オレは話しかけた。
「だいぶお疲れのようですね」

「ええ、仕事でちょっとあって…」と彼は死んだような目で答える。

「なにか、失敗でも?」

「ボク、車のデザイナーをやっているんですけど、どうもうまくいかなくって…」

「うまくいかないって、どんな?」

「ボクの描く車のデザイン、却下されてばかりで…」彼はカウンターを握り拳でたたくと、はじめて大きな声をあげた。「でもボク、退屈なデザインの車を描きたくって、この世界に入ったわけではない!」

「まぁ、落ち着いて」
オレは彼をなだめると、布巾でカウンターにはねたビールの滴をふいた。

「スミマセン」彼は涙をぬぐうと、想いを語り始めた。「ボク、車からかえたいんです、都市の色を。かつて都市の色をかえた、シトロエンDSみたいな未来的な車をつくって…」

「ほう」

「でも上司は、そんな一般受けしない車をつくっても、商売にならないと相手にしてくれなくって…」

オレもサラリーマンをやっていたとき、彼と同じような悩みを抱えていたなと振り返った。
それで上司と衝突して、会社を辞めた。
この店を始めたのも、一人で自由にやりたいような仕事ができると考えたからだ。

オレは、彼に当時の自分を重ねて、励ましの言葉をかけた。
「元気出しなさいよ。ほら、ピカソだって、あまりに進んだ絵をかいて、気が狂ったと言われたそうだし、ガリレオだって理解されなかったじゃないですか。先駆者には、そういう困難がつきものですよ。でも歴史が証明してくれると信じて、頑張りましょうよ」

「そうかもしれませんね」彼は微笑むと頭を下げた。「ありがとうございます」

少しは力になれたのかとホッとしてオレは提案した。
「そうだ。華麗なるカクテルってのがあるんですけど、飲んでみます?」

「華麗なるカクテル?」

「ええ、私が考案したウチで最も先進的なカクテルです」

「面白そうですね。それ、お願いします」

「喜んで!」
オレは満面の笑顔で返事をすると、そのカクテルを彼の前に出した。

元気を取り戻した彼は、今度はなめるような飲み方でなく、グイッとカクテルをあおった。
が、オエッとカクテルをふきだした。
「コレ、カレー味じゃないですか」

「ええ、カレーは飲み物だって誰かがテレビで言っていたのを聞いて、思いついたカクテルです。どうです。斬新でしょ」

賢い買い物

友達のところに遊びに行ったら、彼は自慢げに言った。
「ちょっと高かったけど、思い切ってLED照明にかえたよ」

彼の指さす天井を見あげると、彼の住む4畳半のボロアパートの部屋を煌々と照らす蛍光灯があった。

「確かに、前に比べれば部屋が明るくなった気がする」とボクは言った。
明るすぎて、掃除の行き届かない部屋のホコリが以前より目立って見えるくらいだ。

「だろ」と言って、彼は両手を大きく伸ばした。「10年ももつんだぜ、10年も。白熱灯に比べて値は張るけれど、長い目で見れば得だよ」

「確かにそうかもしれないけど…」
ボクは言いにくい問題を見つけて、言葉につまった。

「けど、何だよ」
彼は眉間にしわをよせて、ボクをにらんだ。

「いや、お前、来年大学を卒業するんだよな」

「ああ」

「だったら、この部屋に住むのも、あと1年じゃねぇ」

「はっ…」
うなだれる彼の首筋を、自慢のLED照明がまぶしく照らした。

作造のつぶやき

北村作造+のコピー_convert_20140406055151

いま朝めしを食べおえた

ばあさん朝めしはまだかのぅ

さっき食べたって?

さっき食べたのは、夕めしだべ

だから夕めしだっての!

夕めしなら、なんでいま朝陽がのぼっているって?

ほんとじゃ

じゃ、そろそろ朝めしを用意しておくれ


幸せの種

4月に入り、いろんな春の花が咲き始めて、冬の殺風景な街がカラフルになってきましたね。

ウォーキングに行って参りましたが、とても癒やされました。

風はちょっと冷たかったけど、空は青空。心も晴れ晴れします。

今日もウォーキングのお供にFMラジオが聴けるボイスレコーダーを連れ、NHK-FMのアニソンアカデミーを楽しませていただきました。

今日のアニソンアカデミーは、「開校1周年記念特別講義SP」ということで、ゲストに水木一郎さんやポカスカジャンを招き、いつもに増して中川翔子さんハッスルしていましたよ。

それにしても水木一郎さん、お元気ですね。
ストレスなんて何もないそうで、いつものキメゼリフ「Z」を連発していました。
病は気からといいますが、ああいう気合いがポジティブ思考につながっているのだと思いました。

お笑いトリオのポカスカジャンの歌からも元気をいただきました。
曲名は「酒のチカラ」
うまくいかないことも多いけど、クヨクヨしないで、酒のチカラでそんなもん捨てちまおうぜ、という感じの歌です。

その曲を聴きながら、春の花咲く道を歩いていると、どんな家にでも春が来れば花が咲くように、どんな人でも心に幸せの種を植えておけば、いつかきっといいことがあるはずだと、前向きな気分になれました。

理想の上司

今度、我々の課にきた上司は、とても謙虚でいい人である。

部下に対しても敬語で、楽しくやりましょうが口癖である。
課の雰囲気も和やかになって、みんなその課長を慕うようになった。

そんな感じで一ヶ月が過ぎ、課長の歓迎会を開いた。

あまり好かれていない上司なら、お酌をしに行っても、形式的な会話をして逃げてしまうものだが、この課長に対しては、誰もが会話が弾み、とても楽しい歓迎会になった。

ただし、それは前半までの話であった…。

後半になると、課長の様子が変わりはじめ、だんだん我々にだめ出しをするようになった。
それもかなり辛辣なもので、会が終わると、二次会も開かずに、みんなヘコんで帰って行った。

後日、その課長のかつての部下であった同期の者にこのことを話すと、「それは、お前らがいけない」と言った。

「なぜだ?」と問うと、「おまえら、けっこうお酌しただろ?」と訊かれた。

オレがうなずくと、彼は「それが失敗の原因だ」と指摘した。

彼によると、課長はお酒が強くないのに、性格的にお酌を断れないタイプだから、そんなに酒を飲まされたせいで、酒乱になったに違いないということだった。

ガラスのバッシュー

私は、母と二人の姉からいじめられている。

家事のすべてをやらされているし、食事も私だけ粗食だ。
どうして私だけ、こんな扱いをうけるのか…。

頻繁に折れそうになるが、そんなときこう考えて自分を慰める。
私は、シンデレラになれる運命にあるのだと。

家族で私がいちばんきれいだし、性格だっていい。
いつかシンデレラみたいにステキな男性が現れ、私をこの苦境から救ってくれる日がくるに違いない。

そんなことを考えながら歩いていたら、うっかりサンダルを深い下水に落としてしまった。
下水の流れは速いし、手も届きそうにないので困っていたら、後ろから声をかけられた。
「どうされました?」

ふり向くと、私と同じ高校生ぐらいのイケメンだ。
私の心臓は、途方に暮れる気持ちと、一目惚れのときめきで、激しく打った。

「サンダルを落としてしまって…」と、私はうわずった声で答えた。

「この下水にですか?」

「ええ」
私はサンダルが流れていった先を追ったが、もうサンダルは見えないほど遠くに流されてしまった。

「困りましたね」と言って、彼は鞄のなかからバスケットシューズをだした。「これボクが部活で使っているヤツですけど、よかったらこれを使って下さい」

バスケットシューズは使い込んであまりきれいでなかったけれども、私にはそれがガラスの靴にみえた。
彼が私の王子様に違いない!

「じゃ、ちょっとお借りします」と言って、私は裸足の右足をだした。

すると彼は、靴を履かせてくれるためにかがむと言った。
「ちょっと、きたないけど…」

「いえ、かまいません」と私は答えた。運命の出会いのためなら、すこしぐらい靴が汚くても全然平気。

「いや、そうじゃなくって」と彼は首をふった。「あなたの足。ガサガサで、まるでうちのばあちゃんの足みたい」

私は泣き出しそうになった。
だって、朝から晩までこきつかわれているんだから、仕方ないじゃないの…。

巨人の餌

僕は毎日恐怖に震えている。

巨人が、僕によく似た生物をムシャムシャ食べるのを見ているからだ。
いつか、自分も食べられるのではないかと思うと、生きた心地がしない。

巨人がいない隙に脱出したいが、ガラス製の頑丈な牢屋に閉じこめられているので、なす術がない。

太らせてから食べるつもりなのか、巨人は毎日僕らに食事を与えに来る。
そんな罠にはまりたくはないが、食べなければ死んでしまうので、僕は太らないように加減して食事をとっている。

この牢屋には、僕の他に5人の仲間がいる。
彼らは暢気な顔をしているが、どうして平気なのだろう?

そんな悩みを誰にも打ち明けられないまま、一人悶々としていたある日、仲間のうちの一人が死んだ。
彼は仲間のなかでは最長老で、死因はいわゆる老衰だろう。

ああ、これで彼も食べられてしまうのだと、おののきながら成り行きを追っていると、予想に反して、巨人は悲しそうな表情を浮かべ、彼をガラスの牢屋から出して言った。
「ついに死んじゃったか。気に入っていた金魚だったのに…」

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マウントエレファント

Author:マウントエレファント
アルパカとバラとスプリング、つまり春(おまえはルー大柴か)を愛するナイスミドル?なサラリーマンです。でも同僚には、そんな趣味、ばらしません。キモイっていわれますから。残念!(古っ!)

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