峠バトル

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ちょっと、この4コマ漫画は意味が通じにくいかもしれません。

まず車に詳しくない方は、どこが面白いのかピンとこないと思います。
この漫画の峠のレースに登場したのは、日産のGT−Rという車と、三菱のランサーエボリューションという車です。
どちらも4WDの超高性能車で、好敵手といえる関係にあります。

で、漫画の男性が運転しているのはGT−R。
彼が「ランエボ」と言った車は、青の車です。
つまりランサーエボリューションを略して、「ランエボ」というわけです。

さらにこの漫画をわかりにくくしているのは、「ランエボ」の語呂として使った「えぼをつる」という言葉の意味だと思います。
これは新潟県の上越地方の方言で、「ふれくされる」という意味なんです。

他県の「ふてくされる」の方言を調べてみますと、愛知県では「はぶてる」、岩手県では「ごんぼほる」、鹿児島県では「フテクロ」、栃木県では「ぶずくれる」北海道では「こんつける」など様々。

標準語だと思っていたのに、通じないことってありますよね。
なんでも「じゃん」をつければ都会言葉だと思って、「ごんぼほるじゃん」なんて言ったら、みんなポカンとしてしまうじゃん(って、いうか、じゃんは横浜じゃん)。

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若いねえ

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気がつけば、もう11月もあと二日。
師走ですよ、師走。

で、あっという間に年越しという流れになるわけでしょうね。
年越しと言えば、紅白。
先日、出場歌手が発表されました。

知らない歌手が年々増え、自分も芸能に疎いおじさんになったなぁ、と思う今日この頃です。

昭和ネタの漫画ばかりで、果たしてどれくらいの方々に通じているのか心配になりますが、今後ともよろしくおつきあいください。

そして多忙な暮れを乗り切り、いい年を迎えましょう。

体が目当て

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AKB狂

AKB狂+のコピー_convert_20141115140750

改心

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お歳暮

お歳暮+のコピー_convert_20141124061417

ママのお仕事

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この漫画を書いていたら、急に上司から電話があり、休日出勤になってしまいました。
ガンバって、お仕事してきます。
ボク、仕事の鬼なので。
うそついてないもん。

豊作

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少し前に『愛の始発駅』というショートショートを書きましたが、これが昨日BS−TBSで、高倉健さんの追悼番組として放送された映画『駅〜STATION』と、とても雰囲気が似ている場面があり驚きました。

ボクはこの映画を初めて観たのですが、高倉健さんが倍賞千恵子の営む小料理屋にはいり、一緒に八代亜紀の演歌を聴いているシーンが、ボクの描いた情景と恐ろしいほど一致していたのです。

この記事を書いてしばらくして、高倉健さんがお亡くなりになり、偶然この映画を観た不思議さを何と表現したらいいのか戸惑っています。
虫の知らせというものがあるのでしょうか。

で、その映画を観ながら、ボクは何をしていたのかというと、大好きなGT−Rのプラモデルをつくっておりました。

その完成作品がコレです。

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一見、うまく出来ているように見えますが、プラモデルをつくるのは子供の時以来なので、悪戦苦闘。

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接着剤がベタベタとついて、まるで霜が付着した冬の朝のGT−Rの様。
うむ、我ながらひどい出来。

理想としては、オートアート製のコチラのようなGT−Rを思い描いていたんですがね。

スミマセン。
不器用な男なもんで…。


初冬の曲がり角

朝の九時を過ぎた頃、私は家をでた。

今日は今年一番の寒さで、初霜がおりたとニュースがあった。
それを確かめるように、河川敷の芝生の上を踏む。
朝日が昇ってだいぶ経つのに、まだザクザクと霜が割れる音がした。

私は凍えてかじかんだ両手を息で温めながら、薄氷のように冷たい空気の膜のはった青空を見あげる。

ハイヒールをはいて颯爽と出勤していた頃の私なら、きっと、この初冬の青空を美しく思ったに違いない。
でも今の私には、心を晴らしてくれるものは何もない…。

私は心身の不調に耐えきれず、三ヶ月前に会社をやめた。
出勤時間に重ならない時間を選んで、家を出たのはそのためだ。

勤めに急ぐ見知った顔の群れに飛び込む勇気はない。
私はもう、彼らとは違う世界に住む異邦人になってしまったのだ。

引きこもりがちになった私が外に出てみようという気持ちになったのは、祖父が入院したという知らせを聞いたからだ。
大学生になっても私は祖父を慕って、祖父の家によく遊びに行った。

しかし就職してからは多忙で、だいぶ足が遠のいてしまった。
確か、最後に祖父の家にいったのは、就職の報告をしに行ったときだから、もう五年も会っていないことになる。

「五年か…」
私は白い息をはきながら呟く。

あっという間であったが、失ったものは多い。
多くの友人、大学時代からつきあっていた恋人…。
みんな私のあまりに忙しすぎる仕事のせいで、疎遠になっていった人たちだ。

しかし憧れの会社に勤められた私は、それも大好きな仕事を充実させるためならば仕方がないと自分に言い聞かせ、馬車馬のように働いた。
そして私は燃え尽き、大好きな仕事まで失った。

五年前の私は天に舞うような気持ちで祖父に就職の報告に行ったが、今日はその逆だ。
祖父の耳には、もう私が会社を辞めたという話は入っているだろうが、青白く弱った私の顔をみれば、なお落胆させるかもしれない。

私は見舞いに行こうかだいぶ迷ったが、母から祖父がいつ逝ってもおかしくないと聞かされ、感謝の言葉も告げられずに別れるのは嫌だと思い、重い腰をあげたわけだ。

祖父の前では、無理にでも笑顔をつくろうと私は心に決めた。
少しでも健康的な顔にみせるよう、メークにも時間をかけた。

が、祖父の顔を見ると、その演技は何分ともたなかった。

「おじいちゃん、あたし会社やめちゃった。ゴメンネ。あんなに大事に育ててもらったのに…」
私は、青い血管の浮き出た痩せた祖父の右手を握って、泣きじゃくった。

祖父は、そんな私の手を優しく叩いて、昔と変わらぬ穏やかな口調で返した。
「なあに、仕事なんて死ぬまでの暇つぶしのようなもんさ。そんなに気に病むことはない」

私は息もできないくらいの嗚咽に見舞われながらも、祖父のその一言でふっと気持ちが軽くなるのを感じた。
ありがとう、おじいちゃん。

革命的な静物画

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ボクの愛車 Part7

またまた、新しいミニカーを購入してしまいました。

で、新たな愛車はコレ。

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Mustang Shelby GT 500 Eleanorです。

といっても、この未開封の写真では、実車が把握できないと思います。

なので、お借りした画像で紹介させていただきます。

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加えて、リンクしたユーチューブの動画は、コチラ

まったく購入する気がなかったんですが、行きつけのショップの店長が、このクルマはニコラス・ケイジ主演の『60セカンズ』という映画で登場した名車で、非常に人気があるので買っておいて損はないと勧められ、その気になってしまった18分の1モデルのミニカーです。

なんでも、その映画で登場したそれは1億円で落札されたとか(その記事はコチラ

というわけで、投機的な下心で買ってしまったわけですなぁ。

従って、未開封のまま保存しておくわけです。
いやらしい話ですが、どのくらいの価値が出るでしょうか…。









と言いつつ、誘惑に負けて開封してしまいました。

ご自慢の愛車は以下のもの。

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シブくて、なかなか格好いいでしょ。


クレーム

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日毎寒さが増しますが、皆さんお加減いかがでしょうか。
この季節、インフルエンザにかからぬよう注意が必要となりますが、ノロウイルスの罹患にも注意する必要があるようです。

振り返れば、去年。ノロウイルスにやられ、ひどい目に合いました。
そのときの投稿記事はコチラ

今年はそんな目に遭わないように、牡蠣などは口にしないようにしたいと思います。

大義なき戦い

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また日本映画界の宝を失ってしまいました。
男の中の男として輝き続けた高倉健さんと同時代を生きられ、幸せでした。

日本の政治は腐敗していくばかりですが、政治だけで国の舵取りが行われるわけではありません。
自分たちができることは何かを考え、少しでも世の中にとってプラスなことをしていく。
それこそが本当の民主主義だと思います。

政治屋におまかせ民主主義から脱皮することに目覚め、アクションに移すことでしか、国を立て直す道はないと思う今日このごろです。

日本男児のお手本であり続けた高倉健さんのご冥福をお祈りします。

骨折男

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報われぬ日々

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悪あがき

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昨日、珍しいお客さんを見つけました。

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黄金のてんとう虫です。

玄関の前にいました。

金運がアップするのかなぁ、なんて期待してしまいますね。

皆様にも、いいことがありますように。

だるま市

だるま市+のコピー_convert_20141115203134

別格

さっそく、飲んでしまいました。
キリンの『別格』。

今月4日に発売されたばかりの新商品です。



ラジオのCMで、「別格」、「別格」と繰り返し宣伝されるので、うかつにもマインドコントロールされてしまった私。
帰りに寄ったコンビニで『別格』を発見してしまい、ホイホイと買い物かごに入れてしまったわけです。

数ある缶コーヒーのなかでもキリンの『FIRE』が好きな私。
そのキリンが、コンビニの淹れたてコーヒーに勝つべく、渾身の力をこめて世に出した『別格』は、さぞおいしいのだろうと期待大でした。

で、まずは「生姜炭酸」から。

うわっ、生姜強っ!

見る見る間に体が熱くなってきます。

しかし美味しいかどうか聞かれると、生姜がきついだけの普通のジンジャーエールという印象。

ま、これはついでに買ったものだから、お次は本命の「希少珈琲」と気を取り直して、ゴクゴク。

こっちは、ミルクがきつい!

正直な感想は、ちょっと上質なコーヒー牛乳。

味音痴なのか、どこが『別格』なのか、わかりませんでした(ううっ、こんなのに216円も出したなんて…)。

これならいつも愛飲している『FIRE』の「グレートビーンズ」のほうが数倍いいです。

人によって好みは違いますが、宣伝するほど『別格』ではないので、同じ390mlで買うなら、私はコチラ。

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伊藤園から出しているタリーズコーヒーのキリマンジェロブレンドです。

こちらも『別格』がアピールする、希少糖を使っていますし、ミルクが入っておらず、スッキリしていて私好み。
しかも『別格』より安い。

それにしても、なんですなぁ。ニュースによると、珈琲豆は値上がりするとか。
今後、割高な缶コーヒーはますます気楽に飲めなくなるんでしょうか…。

何でもかんでも値上がりして、庶民に当たる風は厳しくなるばかりです。

同姓同名

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リテイク

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一本

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代用品

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行列のできる店

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機転

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徳大寺氏を悼む

出版されると必ず購入する本がありました。
『間違いだらけのクルマ選び』です。

その本の著者である自動車評論家・徳大寺有恒氏が7日、急性硬膜下血腫でお亡くなりになりました。

今朝、新聞でその訃報を知り、大変驚きました。
まだ74歳ですので、残念でなりません。

徳大寺さんの本は、どれほど私に楽しみをもたらしてくれたことでしょう。
家のクルマ選びの参考にさせてもらったり、買った後のその評価に一喜一憂したものです。

徳大寺さんの尊敬できるところは、メーカーにこびない批評姿勢です(それが信頼性を高め、ベストセラーになったのだと思います)。

いくら売れているクルマでも、退屈なクルマは✕。
コストダウンでつまらないクルマをつくるようなら、それこそゴミ扱いでした。

安全性にも厳しく、かっこよくてもハードトップはいけないと指摘し、あれほど流行ったハードトップを市場から消滅させてしまうほどの影響力をもっていました(真偽のほどはわかりませんが…)。

その反面、徳大寺さんの推すクルマは、なぜかヒットしないというジンクスもあったのも、ご愛敬でした。

徳大寺さんに教えられたのは、クルマだけではなく、文章術です。
私は徳さん(親しみを込めて、最後にいこう呼ばさせていただきます)の文章からかなり影響をうけており(『クルマ選び』が好きで好きで、繰り返し読んだ影響もあるのですが…)、徳山のお陰で、いかに楽しくわかりやすく書くかということを第一に考えるようになりました。

徳さんともうクルマを語れなくなることはとても淋しいですが、今までありがとうございました。
ご冥福をお祈り申し上げます。

砂を噛む月

内職もない日曜日、大家族のいる家にいるのが嫌で、私は外に出た。

だが、街のなかを歩いてみも、家のなかにいるのと同じように、わけもなく腹が立つだけだった。
仕事はもちろん、麻雀や将棋などの遊びをしても、この苛立ちは消えない。
夜もあまり眠れていない。

真夏でもないのに、額からは冷たい汗が流れる。
私はタオルを取り出し、それを拭う。
いつもこうで、同僚からは笑われている。

目の前に見えるバス停に、ちょうどバスが止まった。
私はそれに乗る。

どこに行くあてもないが、どこか遠くに行ってしまいたい気持ちは抑えきれない。
小倉から乗ったバスは山裾を回って、半島の突端の門司の裏側を走る。

私は松ヶ枝というところでバスを降りる。
そして海岸を歩く。

人気のない海岸は何の風景もなかった。
ただ、名前の知らない小さな島がひとつだけ見えていた。
私は浜辺に座り、それを眺める。
ここも私の刺々しい心を癒してはくれるものではなかった。

私は新聞社に勤めているが、希望の新聞記者にはなれていない。
それどころか「広告部意匠係臨時嘱託」という身分で、正社員にすらなれていないのだ。

四十をこえた私に出世の望みはない。
大家族を養うためには、給与だけでは足りず、割のいいバイトをさがしてあくせく働くだけの日々。
死ぬまでそんな空虚な生活が続くだろう。

そんなことを思うと、私はこの海岸に生えている松で首をくくりたくなる。
しかし、それを実際に行動に移すほどの強い動機はない。

私はただ、苛立たしい怠惰のなかに身をひたすしかなかった。

明らかに神経衰弱にかかっていると思われる中年男性の話ですが、実はこの人、作家デビューするまえの松本清張さんなんです。
『半生の記』という松本清張さんが書かれた自伝から、小説風に仕立ててみました。

この絶望的な境遇のなか、松本清張さんは『週刊朝日』が募集した「百万人の小説」に応募し、その作品で認められ、流行作家への階段を駆け登っていくわけですが、松本清張さんの人生を見ていると、人生捨てたもんじゃないなと思います。

若い時期に成功できませんでしたが、そのお陰で、いろんな経験を積み、豊富なネタの引き出しがつくられたのです。
また、神経衰弱になるくらいの苦しい思いも、弱者の立場から社会の不条理をえがける視点を養うことになったわけです。

その結果、亡くなってもなお、いまだにテレビでドラマ化されるような息の長い作品を多数生み出すことができた…。
作家にとって幸福なのは、デビューの早さよりも、長く愛される作品を残せることだと思わずにはいられませんね。

交通妨害

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いつも私の拙い漫画を読んでいただき、誠にありがとうございます。

正直、こんな馬鹿馬鹿しいのを投稿して大丈夫だろうかという作品も多々あります(というか、そういうのがほとんどですが(^0^;)。
そのような作品にも温かな拍手をいただき、とても励みになっております。

さて、何の参考にもならないかと思いますが、私の着想方法をお話ししたいと思います。

2パターンあるのですが、ひとつは天から舞い降りるようにアイデアが浮かぶパターン。

そしてもうひとつは、ネタになりそうなのを探して、アイデアを絞り出すパターンです。

ちなみにこの作品は、後者のパターンです。
信号機に目をつけ、何か4コマ漫画のアイデアにつながらないかと頭を捻るわけです。

もちろん、素人のことなので、実を結ばないことのほうが多いです。
しかし、何か面白いものはないか、面白くならないかと考えることで、物事を明るく受け止められるようになります。

人生を楽しく生きるコツとして参考になればと思い、紹介させていただきました。

ノットメイドインジャパン

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食い物

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愛の始発駅

北国の市街地の外れにあるこの地に、俺は七年ぶりに訪れた。
七年前は、東京から出張で来たのだ。

一泊したビジネスホテルは人家もまばらな寂寞とした場所にあった。
古ぼけた安いビジネスホテルでは、ろくな夕飯を食べれそうになかったので、どこかの居酒屋で日本酒でも飲みながら北国のうまい魚を食べたいと思い、俺は外に出た。

しかし探せど探せど、適当な店が見つからない。
都会育ちの俺は、小雪の舞う北国の寂しい町を寒さに身を震わせながら歩きまわった。

そしてようやく見つけたのが、小奇麗な外観の小料理だった。
そこで俺は、あのひとにあった。
あのひとに…。

あのひとは、俺よりちょっと年上のようにみえた。
恐らく、26、7だろう。
外に舞う雪のように肌が白い、整っているがおとなしい顔立ちのひとだった。

カウンターと狭い小上がりしかない店の中は、夕食時だというのに誰も客がいなかった。
俺はカウンター席に座り、日本酒と筑前煮、刺し身の盛り合わせを注文した。

彼女に一目惚れした俺は、彼女の顔を見ることもできず、刺し身を切る彼女の白い指先ばかりを見つめていた。
彼女も俺と同じように恥じらいを感じ、会話に困っているようだった。
料理をつくる手元は、緊張で震えているようにみえた。

彼女はそれを誤魔化すように言った。
「この店をやっていた父が亡くなったばかりで、あまり慣れないもんだから…」

「そうなんですか、大変ですね…」
俺は砂漠のように乾いた喉からやっと声をだしたが、その後は言葉が尽きた。

会話の途絶えた気まずい空気を埋めるように、彼女はラジオをつけた。
ラジオからは、演歌が流れてきた。
八代亜紀が歌う『愛の終着駅』であった。

別れを悲しく歌うそのメロディは、じきにくる彼女との別れを思わせ、俺は胸がしめつけられた。
日本酒をすすりながら窓の外を見ると、雪の積もった田園のむこうに灯りのついた列車の窓が流れていった。

想いを何も告げられずに、一時間ほどして俺は店を出た。
彼女は、河原に捨てられた子犬のような悲しい目で俺を見送った。

出張から戻ると、俺は急な転勤を命じられた。
海外勤務であった。

そこで七年勤務し、ようやく東京に戻ってこられた。
転勤先でも、彼女のことを忘れられなかった。
慣れない異国の地が、よけいに和服の似合う彼女を恋しくさせたのかもしれない。

愛しさが募って、『愛の終着駅』のなかの男のように彼女に手紙を書いた。
しかし手紙の内容は、その男とは違う。
別れを綴ったものではなく、愛の告白を綴ったものだ。

馬鹿げた行為とわかってはいたが、想いを胸にしまったまま終わるのは嫌だった。
インターネットで店の住所を調べ、自分の写真を同封して送った。
日本に戻れるかわからなかったので、こちらの連絡先は書かなかった。

今日もあの日のように、小雪が降っている。
俺は道路に薄っすら積もった雪を踏みながら、彼女の営む小料理屋に向かう。

この角を曲がると、その小料理屋だ。
咥えたタバコの白い煙が、先にその方向に流れた。

その後を追うように、俺は角を折れる。

「あっ…」
声をあげた俺の唇から、タバコが落ちた。

俺と視線があった彼女も、掛け始めていた暖簾を落とした。
そして目に涙を浮かべながら言った。
「おかえりなさい」

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プロフィール

マウントエレファント

Author:マウントエレファント
アルパカとバラとスプリング、つまり春(おまえはルー大柴か)を愛するナイスミドル?なサラリーマンです。でも同僚には、そんな趣味、ばらしません。キモイっていわれますから。残念!(古っ!)

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