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八方ふさがりなの

「お兄ちゃん、私どうしたらいいのかしら…」
ボクが自室で勉強していると、二歳年下の中学二年の妹が憔悴しきった感じで入ってきた。

「どうしたんだ?」
ボクが訊くと、妹はボクのベッドの上に疲れたように腰をおろして言った。
「私、八方ふさがりになっちゃった…」

「えっ、なんで」

「いま、私のクラス大変でさぁ…」
妹は深いため息をついて、うなだれた。

「どう大変なんだ?」
ボクは生気を失った妹の顔をのぞき込んだ。

「派閥ができちゃってさ、なんか険悪な感じになっちゃったの…」
妹はそういうと、涙をにじませた。

「そうか。それは大変だね」ボクは妹の隣に腰をおろし、慰めるように妹の背中をさすった。「で、お前はどちらかの派閥に入っているのか?」

「ううん」と妹は力なく首をふった。「どの派閥にも入っていない…」

「どうして?」

「だって、どこかの派閥に入れば、別の派閥の友達に嫌われることになるでしょ」

「そりゃそうだ」

「私みんなに嫌われたくなくって、みんなにいい顔していたら、態度のはっきりしないヤツだって、逆に孤立しちゃったの…」妹は涙声でそう言うと、こらえきれなくなったのか、ついに泣き始めた。「私もう、どうしたらいいのかわからない…」

「そうか、それはつらいな…」
ボクはそれ以上、何も言えず、ただいつまでも妹の背中をさすり続けた。

ただし、何も言えなかったのは、答えがわからなかったからではない。
なんで妹がこんな立場になったのかはわかっていたが、それを言っても妹が救われないと思ったからだ。
だって、まさか「お前が八方ふさがりになったのは、お前が八方美人な態度をとっていたからだよ」なんて言えやしない。
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comment

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No title

苦い政治ショートショートだなあ……。

いや、これは処世術ではなくて政治の話ですよね。ハリネズミのように武装して、鋼鉄のような強い意志がないと、中立は保てない、という。スイスやスウェーデンみたいに(^^)

No title

ポール・ブリッツさん

コメントありがとうございます。
なるほど、そういう見方もありますよね。
一個人にしても、国家にしても、外交は難しいものです。
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アルパカとバラとスプリング、つまり春(おまえはルー大柴か)を愛するナイスミドル?なサラリーマンです。でも同僚には、そんな趣味、ばらしません。キモイっていわれますから。残念!(古っ!)

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