スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

安全な職業

僕は落語家を目指す大学三年生だ。
今はその夢の実現に向けて、大学の落語研究会に所属し、日々腕…、いや滑舌を磨いてる。

僕が落語家を目指す理由は、ふたつある。
ひとつは、もちろん落語が好きだから。
そしてもうひとつは、それが「安全な職業」だからだ。

僕が「安全な職業」にこだわる理由は、父が労災で大怪我をしたことによる。
その怪我のせいで、父は腰を痛め、いまも苦しんでいる。
その痛々しい姿を見て、自分は絶対に怪我をすることのない職業に就こうと思ったわけだ。

それで行き着いた結論が、落語家である。
落語家ならば、正座で仕事をすればいいので、労災にあうリスクはゼロに近いというわけだ。

しかし、落語家で飯を食うには、真打にならなければならない。
その地位を獲得するのは、容易なことではあるまい。

よって、趣味で落研に入っている仲間より、倍の努力をする必要がある。
趣味でやっている奴らに負けるようでは、真打になんてなれるわけがないからだ。

そのせいか、仲間と座布団の数を競い合う大喜利の時に、一層、僕の闘争心に火がつく。

とくに今日行われる大喜利には、尋常ならぬ闘争心を燃やしている。
それは、大学最大のイベントである文化祭でやる大喜利だからだ。
闘争心があまりに強すぎて、昨晩は一睡もできなかった。

大喜利が始まると、司会をつとめる先輩に続いて、僕を含める5名の落研のメンバーは舞台にあがった。
予想以上に観客が多く、空いている席は2,3席しかない。
これは、ますます負けるわけにはいかない。

僕は、司会者の出すお題に、考え抜いた答えを披露する。
すると、面白いぐらいに、観客席からどっと笑い声が返ってくる。

そうなると、司会者も僕に座蒲団をやらないわけにはいかなくなる。
見る見る間に、座蒲団の数が増えて、ついに10枚ゲットできた。

喜びのあまり、やった! と、僕は両手を大きく振りあげた。
その時であった。
バランスを失った僕の体は前のめりに倒れ、そのまま舞台の下へと落下していった…。
スポンサーサイト

comment

管理者にだけ表示を許可する

05 | 2017/06 | 07
Su Mo Tu We Th Fr Sa
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

マウントエレファント

Author:マウントエレファント
アルパカとバラとスプリング、つまり春(おまえはルー大柴か)を愛するナイスミドル?なサラリーマンです。でも同僚には、そんな趣味、ばらしません。キモイっていわれますから。残念!(古っ!)

にほんブログ村
ランキングに参加しています。投票していただけると励みになります。
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村 にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ
にほんブログ村 にほんブログ村 イラストブログ 挿絵へ
にほんブログ村 にほんブログ村 漫画ブログ 4コマ漫画へ
にほんブログ村
人気ブログランキング
ランキングに参加しています。投票していただけると励みになります。
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
321位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
SF
2位
アクセスランキングを見る>>
最新記事
カテゴリ
英検準1級単語ドリル 黒猫版
日々の努力が実を結ぶ

計算×50
頭の体操にどうぞ
名言
不安な明日も先人の励ましで乗りきりましょう

地球の名言 -名言集-

最新コメント
お気軽にコメントをどうぞ
月別アーカイブ
アクセスカウンター
リンク
リンクフリーです
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
RSSリンクの表示
最新トラックバック
カテゴリ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。