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功名の怪我

某一流大学の工学部を首席で卒業した青年が、会社勤務の傍ら、「振り込め詐欺」を撲滅させるためのある装置の開発を行っていた。

その装置とは、電話と嘘発見器をハイブリットさせたものである。
嘘を見抜く精度をあげた嘘発見器を、どのような形態の電話機にも取り付けられるようにすることで、これ以上、慎ましく年金暮らしをしている老人が、ひどい目に遭わないようにしたいという義侠心から、寝る間も惜しんで開発したのである。

そしてついに、彼の努力が報われる日が来た。

彼はその喜びを、陰ながら応援してくれた妻に報告した。
そして、その成果をいちばんに体験してもらいたいと告げた。

「喜んで、体験させていただくわ」と彼の妻は言った。「で、どうすればいいのかしら?」

すると彼は、スマートフォンをズボンのポケットから取り出し、「これで自宅の固定電話に電話をかけるから、ちょっと出てみてくれるかい」と答えた。

「わかったわ」と言って、彼の妻は固定電話の前に立つ。

それを確認すると、彼はスマートフォンをいじって、妻が待ち構えている固定電話に電話をかける。
すぐに、固定電話が鳴った。
彼の妻は機敏に受話器をとる。

「もしもし、佐伯ですけど」
若妻は、老婆の声を真似て電話にでる。

「ああ、ばあちゃん。オレだけど、実は会社のお金を使い込んじゃってさぁ。それがバレないようにするために、穴埋めをするお金がほしいんだけど。見つかったら首になっちゃうから、100万円、大至急振り込んでくれる」
発明家の青年も、必死の演技をする。

すると、固定電話の横にセットされた嘘発見器のディスプレイが緑色に光り、そこに「振り込め詐欺の危険性があります。ご注意下さい」のメッセージが流れた。

「すごい!」彼が耳に当てるスマートホンから、妻の歓喜の声が聞こえてくる。「やったわね。アナタ」

「ありがとう。これまで支えてくれた、君のおかげだよ」
彼もスマートフォンを通して、妻に感謝を伝える。

「そう言ってもらうと、頑張った甲斐があったわ」妻は涙声で言う。「愛しているわ、ダーリン」

「ボ、ボクこそ、愛しているよ。ハ、ハニー」
彼が言い慣れない事をドギマギしながら返すと、再び嘘発見器のディスプレイが緑色に光った…。
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アルパカとバラとスプリング、つまり春(おまえはルー大柴か)を愛するナイスミドル?なサラリーマンです。でも同僚には、そんな趣味、ばらしません。キモイっていわれますから。残念!(古っ!)

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