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飲めない「金の栗茶」

デザートに出されたモンブランを食べ終わると、ワタシはあまりの満足感で、その皿を片付けにきたウエイトレスに言った。
「いやぁ、すべておいしかったよ。上等な栗を扱っているという看板に偽りはないね」

「当店の栗づくし御膳を満足いただき誠にありがとうございます」清楚な感じのウエイトレスは、よくしつけられた丁寧なお辞儀をすると答えた。「当店が使用しております栗は、宮様にも献上したことがあるほどのものなので、その品質には店主も大変自信をもっております」

「なるほど、どうりでおいしいわけだ」
それを聞いて、一段と深い満足感がワタシをつつんだ。

「金の栗茶というお飲み物もありますが、いかがなされます?」
ウエイトレスは整った顔立ちの口角をあげて、ワタシに訊いた。

そのキュートな笑顔に見とれながら、ワタシは尋ねる。
「金の栗茶って、どのようなものですか?」

「はい。当店で扱う栗の中でも最も高品位な栗と、最高級のコーヒー豆をブレンドしたお飲み物です」

「ほう、それは珍しいね」

「はい。砂糖とミルクを一切つかわずとも、栗のまろやかな甘味で、まるで上等なカフェオレのような風味のコーヒーに仕上がっております。店主が5年もの歳月をかけて開発した、当店でしか味わえないお飲み物です。旅の思い出に、ぜひお召し上がり下さい」

ワタシは栗が大好物だが、コーヒーにも目がない。
そのふたつの大好物をブレンドした飲み物とは、どんなものだろう。
大いに興味をそそられた。

食後の珈琲を頼もうとも思っていたので、ワタシは「金の栗茶」を注文した。

しばらくすると、そのウエイトレスは「金の栗茶」を持ってきた。
そして、「どうぞ、ごゆっくり」と言って、それをワタシの前に置く。

「どうも」と答えて、ワタシは「金の栗茶」に目をやる。
見た目は、カフェオレより濃い色をしている。

ワタシは小ぶりのコーヒーカップを鼻の位置までもちあげ、その香りを嗅ぐ。
上等なコーヒーの香りに混ざって、かすかに栗の甘い香りが漂う。
これはいままでに嗅いだことのない芳香だ。

ワタシは、熱めのそれを一口すする。
これはうまいとワタシは唸った。

まずワタシ好みの深煎りされたコーヒーの苦味が舌につたわる。
それから、その苦味を和らげる栗の甘みが舌を癒してくれるのだ。
大満足である。

ワタシが「金の栗茶」を飲み終えたのを見計らって、先ほどのウエイトレスがコーヒーカップを下げにきた。

ウエイトレスが「いかがでしたか?」と尋ねてきたので、「とてもおいしかったよ」とワタシは答えた。

「ありがとうございます」ウエイトレスは、「金の栗茶」に劣らないくらいのスウィーツな笑みを浮かべる。それから「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」と尋ねてきた。

もう満腹だったので、ワタシはこれでいいと答えた。

「またこちらにお越しの際には、お寄り下さい」
ウエイトレスはそう述べ、会計伝票を裏返しにテーブルにおくと、一礼して去っていった。

ワタシは満足感に浸りながら、それを見る。

「えっ!」
ワタシは思わず声をあげた。

「金の栗茶」の値段が、予想外に高かったのだ。
なんと、4000円もした。
栗づくし御膳の二倍の値段である。

なんかの間違いではないかと思い、ウエイトレスを呼ぶ。
そして、「この伝票間違っていません?」と訊いた。

ウエイトレスは伝票を手にとって、長いまつげのクリクリした瞳でそれを検分する。
そして首を左右に振り、「いいえ、間違っていませんけど」と答えた。

「本当?」まだワタシは信じられない思いで訊き返す。「お茶一杯で、4000円もするの」

「はい」とウエイトレスはクールに答える。「最高級の栗とコーヒー豆を使っておりますので」

「それにしたって…」
ワタシは納得いかなかった。

これじゃ、まったく「ぼったくり」じゃないか!
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comment

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No title

面白かったです。

どんな恐ろしい真相が……と思ったら、

予想外の方向で大笑いしました。

わたしも飲みたいな、金の栗茶……でも4000円か……うむむむ。

No title

ポール・ブリッツさん

コメントありがとうございます。
つまらないダジャレのオチでヒヤヒヤもんのショートショートです。
でも、現実に開発されたら、わりとおいしいかもしれませんね。
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アルパカとバラとスプリング、つまり春(おまえはルー大柴か)を愛するナイスミドル?なサラリーマンです。でも同僚には、そんな趣味、ばらしません。キモイっていわれますから。残念!(古っ!)

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