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絶叫のお化け屋敷

「キャー、淳ちゃん。こわ〜い!」
百貨店でやっているお化け屋敷に入るやいなや、ろくろっ首がだらんと天井から垂れてきたのに驚いて、真弓はおれの腕にしがみついてきた。

「馬鹿だなぁ。この程度のやつに驚いていたら、この先思いやられるな。ションベンちびるなよ」
オレは笑い飛ばす。

「ふん、高校生にもなって、おもらしなんかしないもん」
真弓は桃のようにやわらかな頬をふくらます。
まったくキュートなやつだ。

「でも、お化け屋敷に入りたいっていったのお前だかんな」オレはますます構いたくなり、へそ曲がりなことを言う。「オレは、映画のほうがよかったんだけど」

「映画なんて、こないだのデートの時もみたじゃん」真弓は唇をとがらせて反論する。「それに映画と違って、お化け屋敷はこの季節しかやらないんだよ。この季節しか」

「わかった、わかった」オレは手を振ると、真弓のように唇をとがらせて林修の真似をする。「いつお化け屋敷に入るんですか、今でしょう! だろう」

「もう、淳ちゃんたら、意地悪」
真弓はつかんだオレの右腕をつねる。

「イタタタッ、マジやめろよ。冬と違って素肌なんだから」
オレは真弓の手を払い、つねられたところを擦る。

「でも、淳ちゃん。全然怖くないの?」
真弓は、暗闇に不気味に光る骸骨に怯えながら訊く。

「恐いわけないじゃん、こんなの」
オレは胸の高さにあるその骸骨にむけて、パンチする仕草をしてみせる。

「やめなよ。バチ当たるよ」

「当たるわけないだろ、こんなつくりもん」
オレはなおも、二三発エアーパンチをかます。

強がりではなくって、オレは幽霊なんて全然怖くない。
そんなのいるわけがないと確信しているからだ。
サンタクロースがいないことを知った年齢から、お化けも同様にいないと思っている。

だからお化け屋敷も全然平気で、次々と脅かしてくる幽霊の仮装をしたバイト野郎をひやかしてやった。
それに対して、真弓は最後までキャーキャーと耳をつんざくような悲鳴をあげて、うるさいったらありゃしなかった。

「ホラ、これで終わりだ」オレは汗だくの髪をオレの肩にもたせかけている真弓の頬をたたき、暗闇の先で退場客に挨拶をしているシルエットのほうを見るように促す。「出口のバイトのねえちゃんに、たっぷり愉しませてもらいましたと挨拶しろよ」

と、その時だった。
「淳ちゃん」と、そのシルエットが叫んだ。「ちょっと、なにしているの!」

「エッ!」
聞き覚えのある声に背筋を寒くして、オレは恐る恐るそのシルエットに目を凝らす。

「まさみ!?」

「まさみじゃないわよ!」そのシルエットは、お化け屋敷から聞こえてくる悲鳴をうわまわる怒声を響かせる。「なに浮気しているのよ!!」

「ヒ〜ッ!!!」
オレは絶叫して、真弓の腕にしがみつく。

真弓は、そのオレの腕をねじあげて声を唸らせる。
「ちょっとナニよ。これって、二股をかけていったってこと!」

幽霊のうめき声。床にころがる血だらけの死体。木にぶらさがるボロボロの着物をまとった骸骨。
お化け屋敷の地獄のような景色が、我がいまおかれている修羅場を一層オドロオドロしいものにする。

オレはたまらず叫ぶ。
「助けて〜!」

霊界よりも、人間界のほうがよっぽど恐い。
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No title

昔、高橋葉介先生のマンガで、「怖い話」をするシーンがあり、

「ある夜、わしが提灯を片手に道を歩いていたとき、辻で誰だか若い娘がしゃがみこんで泣いていた。

『お嬢さんどうなされた』

『はい、悪い男にだまされて、すべてを奪い取られてしまったのです』

『それは気の毒に。どれ、街まで送って進ぜよう』

 と、わしがいったとたん、その娘はぱっと顔を上げて……。

『ああッ! お前は狂四郎~ッ!』

 なんと! それは昔わしがだまくらかした女だったのじゃ!

『待てぇこの女だまし~ッ!』

 わしは逃げた。なんとか振り切り、ふと前を見上げると夜鳴き蕎麦の屋台がある。

『助かった、すまん、水をくれ』

 とわしがのれんをくぐった瞬間、

『ああッ! お前は狂四郎~ッ!』

 なんと! その蕎麦屋も、わしが昔だまくらかした女だったのじゃ!」

「あなた、いいかげんにしなさい!」

というギャグを読んで、腹を抱えて笑ったことがあります。

そのときと似た感覚を味わいました。やっぱり怖いのは女(^^)

No title

ポール・ブリッツさん
コメントありがとうございます。

全くであります。
油断をしていると、痛い目にあうのであります。

No title

肝試しが本当の肝冷やしに。
浮気はどこにいてもばれるものだね

No title

しまうさぎさん
コメントありがとうございます。

浮気はしてはいけません。
バチが当たります。
でも、どこで鉢合わせするかわからないものですね。
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Author:マウントエレファント
アルパカとバラとスプリング、つまり春(おまえはルー大柴か)を愛するナイスミドル?なサラリーマンです。でも同僚には、そんな趣味、ばらしません。キモイっていわれますから。残念!(古っ!)

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